
新宿区四谷でカウンセリングルーム“MENTAL REB♡RN”を開業中の
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[MENTAL REBORN]の続きを読むテーマ:うつ病(鬱病)、メンタルヘルス - ジャンル:心と身体
- 2010/01/01(金) 00:00:00|
- MENTAL REBORN
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このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。
現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。 エピソード20「伝えられなかった喜び〜入院」 娘の保育園への入園の準備も整い、嫁さんを俺の職場に迎え入れる日がやって来た。
仕事の内容は、オフィス街のランチタイムのホール係。
飲食店の仕事を経験した事のある方なら、ご理解頂けると思うが、仕事の内容としては、それ程楽なものではない。
オフィスワーク以外の仕事を経験していない嫁さんの体力がどれだけ持つのか、一抹の不安は残る。
俺が嫁さんに一緒に働く事の条件として出したのは、絶対に無理はしない事、辛い時は休憩を入れる事の二つ。
「なりさん、今日からよろしくね!」
「うん、とりあえず、無理だけはしなくていいからな、それと、この子の送り迎えはよろしくな。」
「了解、じゃぁ後でお店で…、なりさんは、出勤時間までもう一眠りしておいてね、これから、保育園の準備して、送ってからお店に行くね。」
「悪ぃな、じゃぁ、もう少しだけ寝かせて貰うわ、店で待ってる、気を付けてな。」
職業柄、帰宅の時間が深夜だった俺は、当然の様に、娘の送り迎えを嫁さんにやらせていた、それに対する、嫁さんへの気遣いはすっぽり抜け落ちていた…。
出勤時間、娘を保育園に送った足で、嫁さんがやってくる。
「なりさん、よろしくお願いします、ちゃんと送って来たよ、ちょっと寂しかったけど…。」
「そっか、ありがとう、こっちこそ、よろしくな。」
「で、まず、何からどうしたらいいの?」
「そこに、エプロン用意して置いたから、それ着けて、キッチンの人達に挨拶しておいで。」
「えっ?紹介してくれないの?」
「そうか、それもそうだな、おいで。」
キッチンや、アルバイトの子達に紹介を済ませる。
「開店までに、何をやればいいの?」
「そうだなぁ、とりあえず、掃除機でもかけておいてくれる?」
「分かりました、後はテーブルの番号とか覚えてけばいいのかな?」
「おっ、分かってんじゃん!よろしくっ!」
俺が考えていたよりも、嫁さんの適応力は高く、営業が始まってからも、そつなく仕事をこなしていった事には驚かされた。
ランチタイムが終わり、嫁さんが帰宅する時間になる。
「お疲れさん、ありがとうな、正直、お前が初日からこんなに仕事が出来ると思って無かったよ(笑)」
「ほんとに?、なりさんの迷惑になってるんじゃないかって、どきどきだったけど、そういって貰えるとなんだか嬉しいな…、でも、なりさんこんなに大変な仕事、こんなに少ない人数でやってたんだね、わたしも明日から、もっと頑張るね!」
「いや、無理しない程度に適当にやってくれればいいよ、ありがと、お疲れ!じゃぁ、迎え頼むな。」
「うん、なりさんも無理しないでね。」
無事に初日は終了、その晩、帰宅した俺には、普段より豪華な晩飯が用意されてあった…。
翌日からも、嫁さんの仕事の能率は上がり続け、数週間後には、群発頭痛という持病を持つ俺を気遣う余裕さえうまれていた、仕事中は公私混同しないまでも、夫婦だからこそ成せるアイコンタクトでの仕事が出来るまでになり、本当の意味での戦力になってくれていた。
嫁さんと一緒に働ける喜び、それも確かにあった、だが、本音の部分では、嫁さんと一緒にいれる時間が増えた事、同じ目標に向かって共同の作業が出来ている実感の方が、俺にとっては、掛け替えの無い喜びだった。
だが、それを、嫁さんに伝える事は出来なかった…。
男として、嫁さんと働ける事に浮かれている自分を見せたくないと言う、ちっぽけな見栄もあった…、そして、何より、一緒にいれる時間が増えた事を喜ぶ自分を素直に伝える事は、照れくさかった。
本当は、それを伝える事が、嫁さんが一番喜ぶ事だと知っていたのに…。
どんどんスキルが上がって行く嫁さん、しかし、それは、嫁さんに掛かる負荷が増える事にも繋がっていた事を、身内だからこそ見落としていた。
数ヵ月経った頃、もう一人いた、アルバイトの子が家庭の事情で、職場を離れる事になった、当然、嫁さんに掛かる負荷も増える、育児、家事、仕事、病気、明らかにキャパシティーを越えていた筈だった。
「なりさん…、今日、わたしが仕事休んだらキツイよね…。」
申し訳無さそうに話す嫁さん。
「しんどいか?そうだよな…、いいよ、休みな。」
「いいの…?なりさん一人になっちゃうんでしょ?」
「体調良くないんだろ?、なんとかするよ。」
「ごめんね…。」
「大丈夫、なんか、方法考えるから、ゆっくり休んどけ。」
嫁さんが仕事に出れない日は、数日置きに断続的に続いた…。
俺自身も、疲労がピークになりつつあった、ある日、出勤する筈の嫁さんが来ない、嫁さんに電話を入れる。
「どうした?今日も無理そう?」
「うん…、なりさんごめん…、今日も無理そう…。」
「……分かった、何とかするよ!ただな、俺もしんどいんだよ!どうしても無理だよな?」
「ごめんね…、今日は、動けそうにない…ごめん…」
「分かった!、じゃぁな!」
苛立ちを隠さずに電話を切る…。
帰宅後も謝り続ける嫁さん…。
そっけなく、「気にしなくていいから、飯お願い…。」
「明日も早いから、先に寝るわ、おやすみ。」
「うん…おやすみ…。」
二人の間に気まずい空気が流れる、あの頃の二人を繋いでいたのは、娘の存在だけだった気がする…。
そんな、状況が何日か続いていたある夜…。
「なりさん、仕事行けなくてごめんね…、相談したい事があるんだけど…、聴いてくれる?」
普段とは様子の違う嫁さんの雰囲気に、話を聞かなければと思わされた。
「どうした?ちゃんと聞くからいってみな。」
「あのね…、わたし、入院しちゃダメかな…?」
「入院?」
嫁さんの目から涙がこぼれる…。
「どうした?」
嫁さんの手を取り、体を引き寄せる…。
その時に、初めて気付く。
嫁さんの腕に真新しい、リストカットの傷跡が何本もある事に…。
もう一度、嫁さんを強く引き寄せ抱きしめる…。
「ごめんな、辛い思いさせてたな…、きちんと話聞くから、何でも話して…、本当にごめんな。」
続く
- 2008/08/19(火) 13:59:39|
- メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。
現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。 エピソード19「幸せな育児〜」(後編) 出産から約半年、大きな病気や怪我も無く、娘は、嫁さんの大袈裟でなく、全身全霊を掛けた育児のおかげと、僅かばかりの俺のフォローで、すくすく育ってくれていた。
「なりさん、そろそろこの子も保育園に預けられる位に、安定してくれたから、そろそろわたしも働こうと思うんだけど…、どう思う?」
当時の俺の考えは、古い考えだと思われるだろうが、嫁さんには、家庭を守っていて欲しいというものだった…。
「う〜ん…、もう少し専業主婦やってたくない?」
「なりさん、怒らないで聞いてね…、正直に言うとね、勿論、この子が可愛いのは当然だし、ずっと変わらないんだけどね、少しだけ、育児と家事だけの生活に疲れて来ちゃったんだ…。」
「そうか…、お前にほとんど任せっきりだったもんな。」
「それにね、わたしさ、今、外に出ると、何て呼ばれてるか分かる?」
「周りから、なんか言われてんの?」
「そうじゃないんだけど…、『〇〇ちゃんのママ』か『嶋村さんの奥さん』この二つでしか呼ばれないんだよ、両方とも間違ってないし、呼ばれて嬉しい事も多いけど、『わたし』個人として、誰も見たり、評価してくれなくなっちゃう気がして、なんか怖いんだよね…、分かってもらえるかなぁ?」
「何となくだけどな、お前、職はコロコロ変わってるけど、いつも前線でバリバリ働いてるタイプだったもんな。」
「コロコロ変わるのは病気だから仕方が無いの!(怒/笑)」
笑いながらも、嫁さんの表情が曇る、嫁さんといる時間に慣れ過ぎて、俺の配慮が足りなくなって来た様子の一端が見える言葉だった…。
「なりさん、仕事してもいいかな?」
「OK、分かった、この子の送り迎えに支障がない仕事が条件。」
「うん分かった、じゃぁ、これから探すね!」
「いや、いい、お前さぁ、俺の店で働かない、夜はともかく、昼間の人間が足りてないんだ、求人に金掛けるより、お前に来て貰った方が、安く上がるし、なんかあった時に融通利かせてあげれるでしょ?嫌?」
「なりさんは、わたしと働くのに抵抗無いの?それに、わたし、飲食店の経験無いよ…。」
「大丈夫、それは、俺がフォローするし、お前が調子悪くなっても、俺の目の届く所にいれば安心だからさ…。」
「そっか、それなら、この子に何かあっても安心だもんね…、で、面接とかするの?(笑)」
「面接?これで終了(笑)嶋村さんは、いつからの勤務をご希望ですか?(笑)」
「はい、娘を、保育園にお願いする手続きが済み次第になると思うので、来週位からでお願い出来ますでしょうか?(笑)」
「分かりました、では、来週の月曜日からと言う事でよろしくお願い致します。(笑)」
「はい、こちらこそ、よろしくお願い致します(笑)」
「ただな、子育て、家事、仕事、やる事増えるんだから、無理はすんなよ!」
「そこは、なりさんがフォローしてくれるんでしょ?」
「あははっ、分かった、ただ、仕事中は公私混同無しだかんなっ!」
「はーい、分かりました店長!(笑)」
翌週から、嫁さんの育児と仕事、そして、病気との奮闘が始まる。
この事が、この先に起こる悲しい出来事の、一つのトリガーになる事に、お互いが気付かないまま…。
続く
テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体
- 2008/08/13(水) 12:41:02|
- メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。
現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。 エピソード19「幸せな育児〜」(前編) 嫁さんと娘との三人家族での生活が始まった。
当時の俺の仕事は、飲食店の店長、朝9時に出勤、帰宅は深夜の0時頃、店のイベントや、新メニューの考案等の作業がある時は、タクシーで真夜中に帰宅する事も多かった。
必然的に、二人と一緒に過ごせる時間も限られて来る。
まだ生まれて間もない娘を、嫁さん一人に任せっきりにしてしまう事に罪悪感が無かったと言えば、嘘になるが、当時の俺は、それ以上に、「俺がこいつらを喰わして行かなければいけないんだ。」という責任感の方が前面に出ていた様に思い返される。
深夜の帰宅、それでも、嫁さんは、俺の帰宅を待っていてくれる事が多かった。
「ただいま、チビもう寝てる?」
「うん、寝てるよ、まぁ、これから、何回も起きると思うけど(笑)」
「ごめんな、仕事ばっかりで、色んな事手伝ってやれなくて…、疲れてない?」
「ううん、いいの、なりさんが働いてくれているから、わたし達が暮らせてるんだもん、ただ、お休みの日は、ちゃんと、かまってあげてね、それだけは、約束だからね!」
母親になったばかりの頃の嫁さんはバイタリティに溢れていた、今までの病状が嘘の様に鳴りを潜めていた、(母親になるってこうまで、意識を変えるものなのか)と素直に驚いていた。
「分かってるよ、俺だって、抱っこしたいもん(笑)」
「抱っこだけじゃなく、ミルクとお風呂、オムツもよろしく!(笑)」
「あいよ!そうだ、飯喰った?」
「まだ、なりさん帰ってから、一緒に食べようと思って、ご飯の準備は出来てるよ。」
「ありがとう、でも、俺、帰ってくるの遅いんだから、時間がある時に喰って置いていいんだからな、チビが寝てる時にでもさ、それに、寝てても構わないんだからな、体、持たねぇぞ、ほんとに!」
「うん、ありがと、でも、それだとなりさんとの時間がなくなっちゃうじゃん、出来るだけ頑張る!倒れない程度に(笑)でも、寝てたり、ご飯作れなかったりしたらごめんね。」
平日はそんな生活が続く、嫁さんには無理をさせていたなと、今にしてみれば思う、同時に、そこまでしてくれていた嫁さんに感謝もしている…。
休日は、とりあえず、出来る事をやった、抱っこ、ミルク、オムツ、お風呂、全て、嫁さんの監視付きだったが…(苦笑)
苦手なものもあった、オムツの交換『大』とお風呂の中に浮かぶ『大』(笑)特に、お風呂に浮かぶ『大』には、苦戦した…。
すぐに嫁さんへ、救助要請。
「ママ〜!浮かんでる、助けて!」
何も無かった様に、素手で、浮遊物をつかみ取り、トイレに流す嫁さん感心すると共に、驚かされる。
休日の一番の楽しみは、ベビーカーでの散歩。
公園や、買い物、色んな場所へ3人で向かう、ベビーカーを押しながら、他愛の無い会話をする。
これまでは、街で見かけるよくある風景の一つだったもの、今は、自分達がその風景の一部になっている…。
なんとなく、不思議な感覚だったが、その時間は、俺にとって、夫婦や、家族と言うものを、強く感じる大事な時間だった。
娘が生まれる以前は、長時間の外出時には、度々起きていた、嫁さんのパニック発作も、この頃には、全く起きていなかった、散歩から帰り、部屋に着くと、娘を寝かせ付かせながら、一緒に眠っている嫁さんが微笑ましかった…。
その間に、俺が夕食の準備をする、二人が目を醒ました頃に、夕食。
嫁さんと交代で、娘を抱っこしながらの夕食。
日々の娘の成長、首が据わった、寝返りがうてた、何かお喋り出来る様になった、離乳の時期になった…。
一つ一つの出来事に、夫婦で一喜一憂していた、忘れられない時間だった。
そして、この頃から、娘の保育園入園についての話題が出始める…。
後編へ続く
テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体
- 2008/08/07(木) 12:05:22|
- メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。
現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。
また、今回は、ソフトな性描写を含みます、苦手な方は読み飛ばして下さい。 エピソード18「家族…」(後編) ……「だったら、今言えよ。」……
嫁さんの唇が動きかける…、わずかな空白の時間…。
「やっぱり、今は言えない…、一緒に飲んで、お風呂に入ってから話すよ。」
「うしっ!分かった、じゃぁ、久しぶりに二人で飲むか!」
「何かおつまみ作ろうか?、わたしだと簡単な物しか作れないけど、いい?」
「うん、頼む、久しぶりに、お前の手料理食べたいし、その間に、俺がシャワー浴びて来ちまうわ。」
「ラジャー!ママに任せて!(笑)」
シャワーを浴びながら、ふと、自分の顔が、ほころんでいる事に気付く、娘が産まれた事がそうさせるのだろうか?嫁さんが無事に帰ってきてくれたからなのか?
嫁さんの娘を抱く時の嬉しそうで、限りなく優しい表情が目に浮かぶ…、二人の時には稀に見せていた、愁いの表情や、険のある表情が、まるで無くなった様に感じていた…。
(嫁さんの病気これで治るんじゃねぇのかな…。)そんな事さえ考えていた。
「なりさーん、おつまみ出来たよー。」
「おう、俺も今出るとこー。」
簡単なつまみが数品並ぶ、どれも、久しぶりの嫁さんの手料理、素直に嬉しい。
「ねぇ、早く乾杯しよっ!」
「そうだな、じゃ…、乾杯!二人とも無事に帰って来てくれてありがとう、これからもよろしくな…。」
一瞬、涙目になる嫁さん。
「こちらこそ、よろしくね、今度は二人分でよろしく!(笑)」
ビール4本分の2人の時間…、久しぶりの嫁さんとの晩酌を終える。
「なりさん、わたしもシャワー浴びて来ていい?」
「いいよ、片付けは俺がやって置くよ、チビちゃんも見とくから、行っといで。」
「ありがとう、でも、わたしが出るまで、寝ちゃダメだからね!」
「はいよ!了解!なんか、話があったんだよな」
「うん…、だから、待ってて。」
片付けをさっさと済ませ、寝室で、娘の寝顔を見ながら、嫁さんを待つ。
「あがったよー、ちびちゃん寝てる?」
「うん、ぐっすり、つかれたんだろうな、きっと。」
「そっか、寝てるか、丁度よかった。」
俺の布団に入り込む嫁さん、考えてみれば、嫁さんと一緒に寝るのも久しぶりだった。
「話があるって言ってたよな?、聞きたい事って何?」
「……うん……あのね…、なりさん、わたしの事嫌いになった?」
「えっ?なんで?」
「だって…。」
「だってなんだよ?」
「だって、なりさん、妊娠してから一回も抱いてくれなくなったじゃない!」
嫁さんの目から涙が溢れる…。
娘が眠っている事を確かめてから、そっと、嫁さんを抱き寄せる…。
「ごめんな、本当に俺知らなかったんだ、お前と、ちびの事心配して、何もしちゃいけないんだって思ってた…。」
「やっぱりそうだったんだ…、少しは勉強しなさい!、すごく寂しかったし、もう、なりさんに抱いて貰えなくなったんじゃないかって不安だったんだから…。」
「悪かったな…、だったら、これから抱いてもいい?」
嫁さんの唇が動く前に、俺は、いつもとは違う、特別なキスをした…。
そして、髪を、肩を、背中を…、身体中をやさしく撫でていった…。
「嬉しい…。」
再び溢れ出す、嫁さんの涙を唇で拭う…。
嫁さんの口から、嗚咽と、喘ぎ声が入り交ざる…。
そして、一年の時を経て、二人は一つになった…。
その時、娘は…、寝たふりをしてくれていたらしい…(笑)
嫁さんが、俺の腕におさまるのと同時ぐらいに泣き出した娘に、二人で苦笑した…。
が、次の瞬間、嫁さんは、『女』の顔から、『母親』の顔に戻っていた。
母乳をあげ終え、娘を寝かし付けた嫁さんが、ぽつりと漏らす。
「なりさん、この子が生まれて来てくれて、こうやって三人で暮らせる様になったじゃない?なりさんと結婚した時も思ったけど、なんかね、改めて、これが、わたしの本当の意味での『家族』なんだなって、実感出来て凄く嬉しいんだ…。」
「そうだな、大切にしていこうな、この『家族』」
「わたしが本当に欲しかったのは、『家族』って胸を張って言えるものだったのかもなって最近気付いたんだ、なりさん、あと、ちびちゃんも本当にありがとう。」
「三人で頑張って行こうな、ゆっくりでもいいから、大事に創って行こう、『家族』」
この日からの数ヶ月が、俺にとって、人生最大の幸せの絶頂だったのかも知れない…。
続く
テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体
- 2008/07/25(金) 16:35:00|
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