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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード13) 「受胎告知」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。





エピソード13「受胎告知」(後編)


俺の子供が、嫁さんの中にいる…。

勿論、喜びは、計り知れない程のものがあった…

ただ、同時に不安も…

嫁さんが、毎食後に服用していた、数十錠にも及ぶ、向精神薬の量…

電車に飛び乗った俺は、そんな事を考えながら、家路を急いだ…。

俺よりもずっと、不安に晒されているであろう、嫁さんを抱きしめ、『ありがとう』を言う為に…。

はやる気持ちを抑えながら、通い慣れた駅から家までの道を、足早に歩く、10分弱の道のりがいつもより、長く感じる…。

「ただいま、30分以内に戻ったろ?」

「おかえり、仕事どうしたの…?」

「休み貰って来たから、心配すんな!」

「ごめんね、どうしたらいいのか分からなくなって、電話しちゃった…」

「そんな事どうでもいいよ…、まずは…。」

立ち上がって来た嫁さんの頭に手をのせ、抱き寄せる。

「不安だったろ?、ごめんな…、で、ありがとう。」

嫁さんの腹に手を当て、そっと撫でる。

「なりさんは喜んでくれてるの?」

「バーカ、当たり前だろうが!、俺が出来る事なら、何でも協力する、だから、この子、産んでくれねぇか?」

「なりさん喜んでくれてるんだね、わたし、この子のママになってもいいんだ…、嬉しい…。」

「薬とか、どんな感じ?、それ、ずいぶん前からお前心配してたよな?」

「その事なんだけどね…。」

「ん?」

「やっぱり、気づいてなかったか…。」

「何が?」

「これってね、本当に偶然なんだけど、この子が私のお腹に来てくれた頃からね、お薬飲むと、何となく、調子が悪いような気がして、その頃から、睡眠薬と、胃腸の薬しか飲んでなかったんだよ!、あれだけの量を毎日飲まないと、不安で、不安でしょうがなかったのに、不思議だね、凄いでしょ、わたし!」

「そうなんだ!、ごめん、薬の量が減ってた事、全然気が付かなかったわ。」

「この子が、薬飲んじゃダメって言ってたのかな…?」

「かもな。」

「賢いね、この子(笑)」

「あのな、今朝もさ、っても昼近くだったんだけど、こういう不思議系の話って、俺、全然縁が無いし、信じてねぇクチじゃん?」

「なりさん、何かあったの?」

「まぁ、夢かも知れないし、俺が寝ぼけてただけかもしんないんだけどさ…、今日は、赤ん坊の手に、肩叩かれて目が覚めた…、俺、この手の嘘はつかないじゃん?」

「そうなんだ!、凄~い…、あんた偉いね、パパにもお知らせしてたんだね、エライ、エライ。」

自分のお腹を撫でながら、優しく話しかける嫁さんは、もう母親の顔になっていた気がした…。

「『わたし、元々、あんまり子供好きじゃ無いんだよね…』とか、『妊娠しても、絶対、薬やめられない』とかお前が言ってたの、なんか、嘘みたいだな…、その辺歩いてるママさんみたいな顔してるよ、今。」

「自分でも、凄い不思議な感じ、自分の子供だし、なりさんの子供だからだと思う…、産んでいいって、なりさん言ってくれたから、なんか、凄い安心したし、わたし達の赤ちゃんなんだ!、って、実感がなお更湧いて来たんだと思う…。」

「体、大事にしろよ!、二人で育てて行こうな…。」

「うん、まだ、不安な事、一杯あるけど、なりさんがそう言ってくれるなら頑張る…、だって、なりさんの赤ちゃんだもん。」

「よろしくな、二人とも!!」

嫁さんの腹に声をかけてみる…。

「もう、声掛けたりしたの分かんのかな?」

「もうすぐ、分かるって言ってたよ、先生。」

「そっか、まだなんだ。」

「でも、胎教に悪いから、音楽フルボリュームで聴くのは、これからは無しね!!」

「いや、この子は、ROCKに育てる!!」

「ダメだよ~、まだ、男の子か女の子かも分かんないんだよ!!」

「冗談だよ、冗談。」

「軽く本気入ってたでしょう?(苦笑)」

「軽くな…(苦笑)」

「ったく、もう!!」

「そう言えば、俺以外に、連絡したの?子供の事。」

「ううん、まだ誰にもしてない…、なりさんの気持ち聞いてからじゃないと怖かったから…。」

「じゃぁ、とっとと電話しとけ、今日はお祝いするぞ、その間に買い物行って来るから…、少しだったら、酒飲めるよな?」

「うん、少しにしておく。」

「料理は今日は、俺が作るから、お前ら主賓だ、ゆっくりしてな。」

「俺は飲むぞ、凄ぇ嬉しいから!!」

「あんたが来てくれたのに、パパ酔っ払うって、ダメなパパだね。(笑)」



この日から、親子三人の、アクシデントたっぷりの、新しい生活が始まった…。

不思議で素敵な受胎告知と共に…。





続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/01/31(木) 11:46:39|
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード13) 「受胎告知」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。




エピソード13「受胎告知」(前編)


夏が近づいて来ていた、窓を開け放したままで、眠れる季節、夜風にだけは、微かに寒さが残る…、そんな季節だった。

仕事帰りの終電前、新宿駅の西口ロータリー、ビールをコンビニで買い込み、それぞれの終電まで仲間と楽しい酒をあおる、そんな事が習慣になっていた、世の中には、新婚と呼ばれる時期、もう少し早く帰ることも出来たが、嫁さんからの言葉。

「なりさんはそれくらいしか、今、息抜き出来る事ないでしょ?、だったら、ちゃんと帰って来てくれればいいよ!、ただ、タクシーはたまにしかダメだからね!お金無いんだから(笑)」

当時、嫁さんは、 体調不良から、(精神的には安定していた様に思う)仕事を辞め、専業主婦をやっていた、元来、外で働く事が好きだった嫁さんは、体調が戻ったらすぐに働くと言っていたが、「せっかく、籍を入れたんだから、少し身体休めたら。」という、俺の言葉に、渋々従っていた感じだったが…。

(今にして思えば、外で働くのが好きというより、外で働く事自体が嫁さん自身のアイデンティティだったのではないかと感じる、仕事自体は、嫁さんの持っていた、事務系の高いスキルの為、すぐに見つかるが、鬱の為に出社率が下がり、長くは同じ職場で働けない事は自覚し、割り切っていた。)

「大丈夫!わたしは、お気楽な専業主婦で、家で好きな事やっているんだから、なりさんも、たまには、息抜きしなきゃだもんね!(笑)」

あの笑顔を嫁さんがどれだけの想いと、覚悟で作っていたのかを、今になって思い知る、「無知は罪である」と今更痛感させられる…。

あの笑顔に甘え、日々終電帰りを繰り返していたある夜。

「なりさん、わたし明日、病院に行って来るから、なりさん起きた時もういないから、ちゃんと自分で起きてね。」

「分かった、いつもの病院?」

「それと、もう一つ…」

「どっか悪いの?」

「婦人科に行って来る。」

「そっか、気を付けて行って来いよ。」

「うん。」

「じゃぁ、飯食ったら、先寝てな、明日早いんだろ?」

「そうする、ちゃんと自分で起きるんだよ~(笑)」

「分かった、分かった(苦笑)」

普段と何も変わらない、日常の会話、明日知らされる事になる『奇跡』に、何も気付かないまま眠りに堕ちる…。

昨今持て囃されている、スピリチュアル的なもの、俺は昔から、否定も肯定もしない、そのスタンスは今でも変わらない、だから、これから書き綴る文章は、俺に起きた実体験の一つとして、書き綴る。

仕事前、起きたい時間に目覚まし時計を掛けて眠る、目覚まし時計より早く起きる事は、当時は、殆ど無いに等しかった、一番守りたいものが一番近くにいてくれる安心感が、俺の眠りを深くしてくれていたんだと思う…。

……目覚ましの音は聴こえない、眠っている俺の肩を誰かが叩く、二度、三度…、嫁さんが早く帰って来たのか…?

そう考えた時に、違和感に気付く、ハッ!として目が覚める、そこには誰もいない…、だが、確かに肩に残る感触、違和感の正体は、その、手の大きさだった、明らかに、嫁さんの手の大きさではない、もっと、もっと小さな手…、子供の手、更に言えば、新生児くらいの手の大きさで肩を叩かれた感触が、覚醒した後も、しっかり残っていた、こういった経験には全く縁が無かった俺だが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった…。

その日は臨時休業になってしまった目覚まし時計の電源を切り、仕事に向かう準備を進める…、若干の不思議さを残して…。

職場で、仕事を始める、朝の出来事はすでに、意識に無かった。

夕方近くに、不意に職場の電話が鳴る、同僚が電話を取ったのが分かった、同僚が小走りに俺に向かって来る。

「嶋村さん、奥さんから電話ですよ。」

「嫁さん?」

「はい。」

「分かった、ありがと。」

「もしもし、どうした!?」

「あのね、今日、病院行くって言ってたじゃない…。」

「うん、それで、どっか悪いのか?」

「ううん、違う、あのね…あのね…」

「だからどうした!?」

「なりさんの赤ちゃんができたの…」

「ほんとに!」

「うん…、なりさん喜んでくれる?、わたしどうしたらいい?」

「今どこにいる?、家か?」

「うん…、わたしどうしたらいいんだろう?、なりさん、心細いよぅ…」

「30分待ってろ、すぐ戻る、安心して待ってろ!いいな?」

電話を切り、職場の責任者に経緯を話す、嫁さんが不安定な事も含め。

「急で申し訳ありませんが、今日、これから、お休みを頂けませんか?」 

「急だからねぇ…」

「無理なら、クビで構いませんから!上がります。」

「ちょっと待って、明日は定時に来てくれる?」

「お約束します。」

「じゃぁ、今日だけ特別、給料は1日分引くけどいい?」

「好きにして下さい!、ただ、皆さんに勝手言って、申し訳御座いませんとだけ伝えておいて下さい。」

(今の嫁さんを1人にして置きたくない…)
挨拶もそこそこに、俺は電車に飛び乗った。




後編へ続く

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  1. 2008/01/31(木) 11:44:54|
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