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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード21)「入院…」(中編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。







エピソード21「入院…」(中編)


嫁さんが入院する日を迎える、入院の時間は午後から。

当時、俺が店長を任されていた店は、ランチタイムの慢性的な人員不足と、店長と言う立場から、店を休む訳にも行かず、入院の付き添いには行けそうに無かった…。

「ごめんね、なりさんに負担掛けちゃうけど、少しの間行ってくるね…、この子の事お願いね、今日は保育園お休みさせて、お姉ちゃんに見に来て貰うから、心配しないで大丈夫だからね。」

「俺の方こそ、一緒に付いて行ってあげられなくてごめんな。」

「なりさん、本当は、しばらくわたしがいなくなるから嬉しいんでしょ?羽伸ばし過ぎちゃダメだからね(笑)少しは寂しい…?」

「…あぁ、寂しいよ!だから、バカな事言ってねぇで、さっさと良くなって帰って来い!…待ってるから…。」

「うん、ありがとう、なりさんも、待ってるだけじゃなくて、たまには面会に来てよね!わたしは、凄く凄く、寂しいんだから…。」

「休みの日は必ず行くから安心して!じゃぁ、悪ぃ、仕事行くわ…、早く帰って来いよ。」

「うん、了解出来るだけ早く戻って来ます、だって、わたしの大事な家族が待ってるお家だもん!なりさんも、仕事無理し過ぎないでね、行って来ます…。」

その日から、嫁さんの精神病棟への入院生活が始まった。

仕事を終え、終電間際の帰宅、部屋には、お義姉さんと娘の出迎え…。

そこには、嫁さんの手料理は無い…、あるのは、お義姉さんが、大量に買い込んだ、カップラーメンの山と出来合いのお惣菜…。

お義姉さんに悪意は無いのだが、早速、現実を喰らう…。

唯一の救いは、やっとしゃべり出した娘が「パパー!」と言いながら抱きついてくれた事。

「お義姉さん、今日はありがとうございました、無事にあいつ入院できました?」

「うん、大丈夫だと思うよ、ちびちゃんと離れるのは、凄く寂しそうだったけど。」

「そうですか、ご迷惑お掛けしますけど、明日から、この子と平日の嫁さんの事、よろしくお願いします。」

嫁さんの希望で毎日、娘を連れて、面会に行ってくれるとの事。

嫁さんが入院した病院では、面会が親族までに制限されていた。

何とか平日を乗り切り、初めて嫁さんの面会に行く。

病棟にたどり着く、日光の当たる、ガラス張りの明るい病棟で、想像していた様な暗いイメージで無かった事にほっとするも、病棟に入るまでには、幾重もの、厳重なセキュリティが施され、ここが、精神科の入院病棟である事を認識させられる。

インターフォンを押し、看護師さんに嫁さんの夫である事を告げる、嫁さんへの確認作業が済み、ドアのロックが開いて行く。

嫁さんが俺を見つけ、通路を足早に向かって来る。

「なりさん、来てくれてありがとう!ちびちゃんも今日は、パパと一緒で嬉しいね!ほら、ママに抱っこさせて!」

嫁さんに飛びつく娘と、思ったより、元気そうな嫁さんを見て、少し安心する。

「顔色良さそうじゃん、どうだ、入院生活?」

「うん、覚悟はしてたけど、制限が多くてやっぱりしんどいかな…、携帯も預けなきゃだし、なりさんに電話するのも、公衆電話だけだしね…。」

「タバコは吸えんの?」

「うん喫煙所はあるから、吸えるんだけど、入院患者だけなんだって、なりさん、吸うなら、外に出なきゃだよ(苦笑)」

「じゃぁ、後で少しだけ行って来るわ(苦笑)」

「面会時間決まってるんだから、少しくらい我慢しなさいよ、せっかく来てくれたのにぃ。」

談話室のような場所で、そんな、他愛も無い話をしていると、数人の患者さん達が、嫁さんに声を掛けてくる。

「嶋村さん、この方が、旦那様?」

「うん、そうだよ、うちの旦那ちゃんです。」

「嶋村さん少し、紹介してよ。」

数人の嫁さんの友人であろう患者さんが、二人の周りに集まって来る。

「はじめまして、いつも、家の家内がお世話になっております。」

「いえいえ、私達の方こそ、嶋村さんにはお世話になっているんですよ。」

一様に嫁さんの友人の患者さん達の表情は明るい。

そんな会話をしている中に、1人だけ、一生懸命お話をしてくれているのだけれど、どうしても、会話が、支離滅裂になってしまい、何を伝えてくれたいのか、分からなくなってしまう患者さんがいた。

当時、知識の足りなかった俺は、対応に困り、とにかく、ニコニコ楽しそうに色んな話をしてくれる、その患者さんに対して、笑顔を絶やさない事と、相づちを忘れない事だけを心掛けていた。

嫁さんの友人達との歓談も落ち着き、娘を抱っこした嫁さんと二人で話せる時間が出来た。

「ふぅ…、やっと二人で話せるな。(苦笑)」

「うん、そうだね。(笑)」

「さっきの人には、ちょっとだけ、困っちゃったよ。(笑)」

「あの人ね、可哀そうな人なんだ、陰性の統合失調症で、これから、少しずつ、色んな事が、分からなくなって行っちゃうんだって言ってた…。」(※当時は陰性の統合失調の治療にに効果がある薬は出来ていなかった)

「そっか、そうなんだ…、今は、あんなにニコニコしてるのに、可哀そうだな…。」

「こんな事、言っちゃいけないとは思うんだけど、わたしが、同じ様な状態になったら、もうダメだろうなぁ…。」

「おい!ダメだとか言うなよ、お前は、お前、早く良くなる事だけ考えて入院してろ!、良くなる為の入院だろうが!」


後編へ続く
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ごめんなさい、TIMEUPです。

書き切るつもりでしたが、この日記を(中篇)とさせて頂きます。

本日もしくは、数日中に後編UPします。
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  1. 2008/08/29(金) 13:05:24|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード21)「入院…」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。






エピソード21「入院…」(前編)



忙しさに感け、嫁さんとの対話を蔑ろにしていた時期だった。

娘が生まれて、多少手がかからなくなって来た時期から、久しく嫁さんと、じっくり話す時間を取っていなかった事に気付く…。

勿論、会話が無かった訳ではないが、今更ながら、俺自身が、嫁さんからのメッセージを上っ面だけで、聞いていた事を思い知らされる様な嫁さんの言葉と状況だった。

全く気付く事さえ出来ていなかった、真新しいリストカットの傷跡、そして、「入院しちゃだめかな…?」という言葉。

ここまで嫁さんを追い詰めてしまっていた、何もフォロー出来ていなかった自分に憤りを感じながら、嫁さんの言葉に正面から向かい合う。

ポツリ、ポツリと話し出す嫁さん。

「なりさん、ごめんね…、怒らないで聞いてくれる?」

「大丈夫、何でも言ってみて、何言われても、怒んないから。」

「あのね…、多分、今がわたしの限界なんだと思う…、疲れちゃったんだ…。」

「何に対してかな?」

「この子を保育園に預ける様になってから、なりさんのお手伝いでしょ、家事をやって、この子の相手して…、本当なら、出来て当たり前の事だよね…、でもね、わたしにはそれが、難しいみたい、この頃、本当に疲れが抜けないんだ…。」

「ごめん、俺のフォローが足りなかったんだよな…。」

「ううん、なりさんのせいじゃなくてさ、それが出来ない自分が情けなくって、悔しくって、自分がイヤになって来ちゃって…。」

「で、その腕の傷か…、一緒にいる様になってから、随分傷が減っていたよな、気付いてやれなくてごめんな、後さ、お前、自分の事責めるなよ、俺らの場合、近場に、実家がある訳でもないし、育児を手伝ってくれる人がいる訳でもない、まして、お前の場合、健康な人達よりは、ハンデもある訳じゃん…、それをフォローするって約束したのは俺だし、その俺が、お前がここまで追い詰められるまで、気付いてあげられないなんて、俺の失態だし、むしろ、俺がお前の事を追い込んでたようなもんだよな…。」

「ううん、そんな事は無いよ、なりさんのせいじゃないから。」

「…俺さ、やっぱり、どっかで勘違いしてたり、慢心してた部分があったと思うんだ、正直に話すと、この子が生まれた事で、お前の病気が良くなったもんだと思ってた…、それって、ただ、お前が、この子に対する思いと、責任感で、自分のキャパを越えてまで、無理してたんだよな…、気付いてあげられなくてごめんな…。」

「なりさんにそう言って貰えただけでも、嬉しい…、ありがとう。」

「俺さ、もう少し、出来る限りのフォローはするし、お前にあんまり負担掛けない様にするからさ…、それでも入院したい?」

「ごめんね、なりさん、今、本当に限界に近いと思うのね…、最近ずっと思わなかった、死にたいって気持ちが、出はじめてるんだ…、この子の事本当に大事に思ってるし、なりさんにもこれ以上迷惑掛けたくないから、やっぱり、入院して、良くなって帰って来る…、だめ?」

「分かった、お前がそうしたいんだったら、そうしておいで、ただ、必ず、少しでも良くなって戻って来いよ。」

「うん、わがまま言ってごめんね…、元気になって戻って来るね。」

「病院、決まってるの?これから?」

「実は、もう決まってるんだ、ただ、入院には、家族の承諾が要るから、なりさんから、OKが出ないと入院できないんだ。」

「そっか…、場所は近場?」

「うん、ここからだとバスで30分位かな…面会時間となりさんの仕事の時間被っちゃうから、平日は無理だと思うけど、日曜日は面会に来てね、ちびちゃんと一緒に…。」

「分かってる、でも、お前入院してる間、チビどうすんの?」

「あのさ、お姉ちゃんに来て貰おうかと思ってるんだ、なりさんの仕事も手伝って貰おうかと思ってるんだけど、なりさんは気を遣わせちゃうと思うんだけど、この子の為だと思って、今回だけ許して。」

「分かった、お前は、自分が良くなる事だけ考えて行っておいで…、ゆっくりとは言えないけどさ(苦笑)」

「ありがとう、明日から、手続き始めてみるね、わがまま言ってごめんね…。」

「バーカ、お前に死なれる位なら、何でも我慢するわっ!」

「なりさん…、入院しちゃったら、しばらく一緒に寝れないから、今日から一緒に寝てくれる?」

「OK、一緒に寝よっ、三人でな。」

数日後、病院から、俺に連絡が入る。

「嶋村様の旦那様でいらっしゃいますか?奥様の入院の件で、何点かご承諾頂かなければいけない事がありまして、ご連絡させて頂きました。」

「まず、奥様が入院される事に同意はして頂けますか?」

「はい、同意しております。」

「もし、奥様が、入院中、仮に、暴れたり、危険な行動を取ってしまう事があった場合、拘束させて頂く可能性もありますが、それについても、ご承諾頂けますか?」

「…はい、嫁さんが、今の状態から、少しでも回復するのに必要な事でしたら、承諾します。」

「分かりました、それでは、奥様をお預かり致します。」

「よろしくお願いします、何とか、嫁さんを助けてやって下さい!」

「分かりました、最善は尽くします。」

この時の俺は、入院する事でうまれるであろう、メリットだけに気が行っており、入院する事によってうまれる、デメリットの事など、全く頭の中に無かった…。



後編へ続く

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  1. 2008/08/28(木) 13:13:28|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード20)「伝えられなかった喜び~入院」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。





エピソード20「伝えられなかった喜び~入院」

娘の保育園への入園の準備も整い、嫁さんを俺の職場に迎え入れる日がやって来た。

仕事の内容は、オフィス街のランチタイムのホール係。

飲食店の仕事を経験した事のある方なら、ご理解頂けると思うが、仕事の内容としては、それ程楽なものではない。

オフィスワーク以外の仕事を経験していない嫁さんの体力がどれだけ持つのか、一抹の不安は残る。

俺が嫁さんに一緒に働く事の条件として出したのは、絶対に無理はしない事、辛い時は休憩を入れる事の二つ。

「なりさん、今日からよろしくね!」

「うん、とりあえず、無理だけはしなくていいからな、それと、この子の送り迎えはよろしくな。」

「了解、じゃぁ後でお店で…、なりさんは、出勤時間までもう一眠りしておいてね、これから、保育園の準備して、送ってからお店に行くね。」

「悪ぃな、じゃぁ、もう少しだけ寝かせて貰うわ、店で待ってる、気を付けてな。」

職業柄、帰宅の時間が深夜だった俺は、当然の様に、娘の送り迎えを嫁さんにやらせていた、それに対する、嫁さんへの気遣いはすっぽり抜け落ちていた…。

出勤時間、娘を保育園に送った足で、嫁さんがやってくる。

「なりさん、よろしくお願いします、ちゃんと送って来たよ、ちょっと寂しかったけど…。」

「そっか、ありがとう、こっちこそ、よろしくな。」

「で、まず、何からどうしたらいいの?」

「そこに、エプロン用意して置いたから、それ着けて、キッチンの人達に挨拶しておいで。」

「えっ?紹介してくれないの?」

「そうか、それもそうだな、おいで。」

キッチンや、アルバイトの子達に紹介を済ませる。

「開店までに、何をやればいいの?」

「そうだなぁ、とりあえず、掃除機でもかけておいてくれる?」

「分かりました、後はテーブルの番号とか覚えてけばいいのかな?」

「おっ、分かってんじゃん!よろしくっ!」

俺が考えていたよりも、嫁さんの適応力は高く、営業が始まってからも、そつなく仕事をこなしていった事には驚かされた。

ランチタイムが終わり、嫁さんが帰宅する時間になる。

「お疲れさん、ありがとうな、正直、お前が初日からこんなに仕事が出来ると思って無かったよ(笑)」

「ほんとに?、なりさんの迷惑になってるんじゃないかって、どきどきだったけど、そういって貰えるとなんだか嬉しいな…、でも、なりさんこんなに大変な仕事、こんなに少ない人数でやってたんだね、わたしも明日から、もっと頑張るね!」

「いや、無理しない程度に適当にやってくれればいいよ、ありがと、お疲れ!じゃぁ、迎え頼むな。」

「うん、なりさんも無理しないでね。」

無事に初日は終了、その晩、帰宅した俺には、普段より豪華な晩飯が用意されてあった…。

翌日からも、嫁さんの仕事の能率は上がり続け、数週間後には、群発頭痛という持病を持つ俺を気遣う余裕さえうまれていた、仕事中は公私混同しないまでも、夫婦だからこそ成せるアイコンタクトでの仕事が出来るまでになり、本当の意味での戦力になってくれていた。

嫁さんと一緒に働ける喜び、それも確かにあった、だが、本音の部分では、嫁さんと一緒にいれる時間が増えた事、同じ目標に向かって共同の作業が出来ている実感の方が、俺にとっては、掛け替えの無い喜びだった。

だが、それを、嫁さんに伝える事は出来なかった…。

男として、嫁さんと働ける事に浮かれている自分を見せたくないと言う、ちっぽけな見栄もあった…、そして、何より、一緒にいれる時間が増えた事を喜ぶ自分を素直に伝える事は、照れくさかった。

本当は、それを伝える事が、嫁さんが一番喜ぶ事だと知っていたのに…。

どんどんスキルが上がって行く嫁さん、しかし、それは、嫁さんに掛かる負荷が増える事にも繋がっていた事を、身内だからこそ見落としていた。

数ヵ月経った頃、もう一人いた、アルバイトの子が家庭の事情で、職場を離れる事になった、当然、嫁さんに掛かる負荷も増える、育児、家事、仕事、病気、明らかにキャパシティーを越えていた筈だった。

「なりさん…、今日、わたしが仕事休んだらキツイよね…。」

申し訳無さそうに話す嫁さん。

「しんどいか?そうだよな…、いいよ、休みな。」

「いいの…?なりさん一人になっちゃうんでしょ?」

「体調良くないんだろ?、なんとかするよ。」

「ごめんね…。」

「大丈夫、なんか、方法考えるから、ゆっくり休んどけ。」

嫁さんが仕事に出れない日は、数日置きに断続的に続いた…。

俺自身も、疲労がピークになりつつあった、ある日、出勤する筈の嫁さんが来ない、嫁さんに電話を入れる。

「どうした?今日も無理そう?」

「うん…、なりさんごめん…、今日も無理そう…。」

「……分かった、何とかするよ!ただな、俺もしんどいんだよ!どうしても無理だよな?」

「ごめんね…、今日は、動けそうにない…ごめん…」

「分かった!、じゃぁな!」

苛立ちを隠さずに電話を切る…。

帰宅後も謝り続ける嫁さん…。

そっけなく、「気にしなくていいから、飯お願い…。」

「明日も早いから、先に寝るわ、おやすみ。」

「うん…おやすみ…。」

二人の間に気まずい空気が流れる、あの頃の二人を繋いでいたのは、娘の存在だけだった気がする…。

そんな、状況が何日か続いていたある夜…。

「なりさん、仕事行けなくてごめんね…、相談したい事があるんだけど…、聴いてくれる?」

普段とは様子の違う嫁さんの雰囲気に、話を聞かなければと思わされた。

「どうした?ちゃんと聞くからいってみな。」

「あのね…、わたし、入院しちゃダメかな…?」

「入院?」

嫁さんの目から涙がこぼれる…。

「どうした?」

嫁さんの手を取り、体を引き寄せる…。

その時に、初めて気付く。

嫁さんの腕に真新しい、リストカットの傷跡が何本もある事に…。

もう一度、嫁さんを強く引き寄せ抱きしめる…。

「ごめんな、辛い思いさせてたな…、きちんと話聞くから、何でも話して…、本当にごめんな。」



続く
  1. 2008/08/19(火) 13:59:39|
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード19)「幸せな育児~」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。




エピソード19「幸せな育児~」(後編)




出産から約半年、大きな病気や怪我も無く、娘は、嫁さんの大袈裟でなく、全身全霊を掛けた育児のおかげと、僅かばかりの俺のフォローで、すくすく育ってくれていた。

「なりさん、そろそろこの子も保育園に預けられる位に、安定してくれたから、そろそろわたしも働こうと思うんだけど…、どう思う?」

当時の俺の考えは、古い考えだと思われるだろうが、嫁さんには、家庭を守っていて欲しいというものだった…。

「う~ん…、もう少し専業主婦やってたくない?」

「なりさん、怒らないで聞いてね…、正直に言うとね、勿論、この子が可愛いのは当然だし、ずっと変わらないんだけどね、少しだけ、育児と家事だけの生活に疲れて来ちゃったんだ…。」

「そうか…、お前にほとんど任せっきりだったもんな。」

「それにね、わたしさ、今、外に出ると、何て呼ばれてるか分かる?」

「周りから、なんか言われてんの?」

「そうじゃないんだけど…、『〇〇ちゃんのママ』か『嶋村さんの奥さん』この二つでしか呼ばれないんだよ、両方とも間違ってないし、呼ばれて嬉しい事も多いけど、『わたし』個人として、誰も見たり、評価してくれなくなっちゃう気がして、なんか怖いんだよね…、分かってもらえるかなぁ?」

「何となくだけどな、お前、職はコロコロ変わってるけど、いつも前線でバリバリ働いてるタイプだったもんな。」

「コロコロ変わるのは病気だから仕方が無いの!(怒/笑)」

笑いながらも、嫁さんの表情が曇る、嫁さんといる時間に慣れ過ぎて、俺の配慮が足りなくなって来た様子の一端が見える言葉だった…。

「なりさん、仕事してもいいかな?」

「OK、分かった、この子の送り迎えに支障がない仕事が条件。」

「うん分かった、じゃぁ、これから探すね!」

「いや、いい、お前さぁ、俺の店で働かない、夜はともかく、昼間の人間が足りてないんだ、求人に金掛けるより、お前に来て貰った方が、安く上がるし、なんかあった時に融通利かせてあげれるでしょ?嫌?」

「なりさんは、わたしと働くのに抵抗無いの?それに、わたし、飲食店の経験無いよ…。」

「大丈夫、それは、俺がフォローするし、お前が調子悪くなっても、俺の目の届く所にいれば安心だからさ…。」

「そっか、それなら、この子に何かあっても安心だもんね…、で、面接とかするの?(笑)」

「面接?これで終了(笑)嶋村さんは、いつからの勤務をご希望ですか?(笑)」

「はい、娘を、保育園にお願いする手続きが済み次第になると思うので、来週位からでお願い出来ますでしょうか?(笑)」

「分かりました、では、来週の月曜日からと言う事でよろしくお願い致します。(笑)」

「はい、こちらこそ、よろしくお願い致します(笑)」

「ただな、子育て、家事、仕事、やる事増えるんだから、無理はすんなよ!」

「そこは、なりさんがフォローしてくれるんでしょ?」

「あははっ、分かった、ただ、仕事中は公私混同無しだかんなっ!」

「はーい、分かりました店長!(笑)」

翌週から、嫁さんの育児と仕事、そして、病気との奮闘が始まる。

この事が、この先に起こる悲しい出来事の、一つのトリガーになる事に、お互いが気付かないまま…。


続く

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  1. 2008/08/13(水) 12:41:02|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…エピソード19「幸せな育児~」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

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エピソード19「幸せな育児~」(前編)




嫁さんと娘との三人家族での生活が始まった。

当時の俺の仕事は、飲食店の店長、朝9時に出勤、帰宅は深夜の0時頃、店のイベントや、新メニューの考案等の作業がある時は、タクシーで真夜中に帰宅する事も多かった。

必然的に、二人と一緒に過ごせる時間も限られて来る。

まだ生まれて間もない娘を、嫁さん一人に任せっきりにしてしまう事に罪悪感が無かったと言えば、嘘になるが、当時の俺は、それ以上に、「俺がこいつらを喰わして行かなければいけないんだ。」という責任感の方が前面に出ていた様に思い返される。

深夜の帰宅、それでも、嫁さんは、俺の帰宅を待っていてくれる事が多かった。

「ただいま、チビもう寝てる?」

「うん、寝てるよ、まぁ、これから、何回も起きると思うけど(笑)」

「ごめんな、仕事ばっかりで、色んな事手伝ってやれなくて…、疲れてない?」

「ううん、いいの、なりさんが働いてくれているから、わたし達が暮らせてるんだもん、ただ、お休みの日は、ちゃんと、かまってあげてね、それだけは、約束だからね!」

母親になったばかりの頃の嫁さんはバイタリティに溢れていた、今までの病状が嘘の様に鳴りを潜めていた、(母親になるってこうまで、意識を変えるものなのか)と素直に驚いていた。

「分かってるよ、俺だって、抱っこしたいもん(笑)」

「抱っこだけじゃなく、ミルクとお風呂、オムツもよろしく!(笑)」

「あいよ!そうだ、飯喰った?」

「まだ、なりさん帰ってから、一緒に食べようと思って、ご飯の準備は出来てるよ。」

「ありがとう、でも、俺、帰ってくるの遅いんだから、時間がある時に喰って置いていいんだからな、チビが寝てる時にでもさ、それに、寝てても構わないんだからな、体、持たねぇぞ、ほんとに!」

「うん、ありがと、でも、それだとなりさんとの時間がなくなっちゃうじゃん、出来るだけ頑張る!倒れない程度に(笑)でも、寝てたり、ご飯作れなかったりしたらごめんね。」

平日はそんな生活が続く、嫁さんには無理をさせていたなと、今にしてみれば思う、同時に、そこまでしてくれていた嫁さんに感謝もしている…。

休日は、とりあえず、出来る事をやった、抱っこ、ミルク、オムツ、お風呂、全て、嫁さんの監視付きだったが…(苦笑)

苦手なものもあった、オムツの交換『大』とお風呂の中に浮かぶ『大』(笑)特に、お風呂に浮かぶ『大』には、苦戦した…。

すぐに嫁さんへ、救助要請。

「ママ~!浮かんでる、助けて!」

何も無かった様に、素手で、浮遊物をつかみ取り、トイレに流す嫁さん感心すると共に、驚かされる。

休日の一番の楽しみは、ベビーカーでの散歩。

公園や、買い物、色んな場所へ3人で向かう、ベビーカーを押しながら、他愛の無い会話をする。

これまでは、街で見かけるよくある風景の一つだったもの、今は、自分達がその風景の一部になっている…。

なんとなく、不思議な感覚だったが、その時間は、俺にとって、夫婦や、家族と言うものを、強く感じる大事な時間だった。

娘が生まれる以前は、長時間の外出時には、度々起きていた、嫁さんのパニック発作も、この頃には、全く起きていなかった、散歩から帰り、部屋に着くと、娘を寝かせ付かせながら、一緒に眠っている嫁さんが微笑ましかった…。

その間に、俺が夕食の準備をする、二人が目を醒ました頃に、夕食。
嫁さんと交代で、娘を抱っこしながらの夕食。

日々の娘の成長、首が据わった、寝返りがうてた、何かお喋り出来る様になった、離乳の時期になった…。

一つ一つの出来事に、夫婦で一喜一憂していた、忘れられない時間だった。

そして、この頃から、娘の保育園入園についての話題が出始める…。




後編へ続く

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  1. 2008/08/07(木) 12:05:22|
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