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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード25)「不協和音~かりそめの平穏」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード25「不協和音~かりそめの平穏」(後編)

新しい職場の新規オープン準備も無事に終え、俺の生活時間帯が、完全に深夜にシフトチェンジする事になる。

俺と嫁さんの生活時間帯の違いは、確実に二人で共有出来る時間を削って行った。

オープンしたばかりの店舗、六本木という土地柄も手伝って、日々、マネージメントを任される店に改善、変更点が生まれる、オープンから数週間は、朝までの営業を終えてから、オーナーと打ち合わせをする機会も多く、帰宅は、昼近く、もしくは、昼を過ぎる事もままあった。

「なりさん、一緒にいれる時間が減ったよね…。」

「ごめんな、もうすぐ店自体が落ち着いてくると思うから、それまで許して!、ただ、休みは増えたから休日は有効に使おう?」

「…うん、でもさぁ…、あんなに疲れて帰ってくるし、お休みの日くらいゆっくりして貰いたいよ…。」

「大丈夫、今は、店自体が落ち着いてないから、こんなだけど、その内俺も慣れるからさ、それよりお前は調子どうだ?」

「うーん…、この前ね病院変えたいって言ってたじゃない?」

「うん、そうだな、それで、どうなった?」

「ごめんね、もうさ、変えちゃったんだ病院…。」

「そうなんだ、で、新しいとこはどんな感じ?」

「雰囲気自体はいい感じなんだけどさ…。」

「何か問題でもあんの?」

「うーん…、あのさ、今までは、わたしの診断て『鬱病』がメインだったじゃない?」

「それ以外にもいっぱいあるけどな。」

「まぁね、でもね、今回行った病院で、色々検査したり、話をしたりしてたらね、『初期統合失調』だって言われたんだ。」

「それは、どんなの?」

「幻覚とか幻聴とか、自分が自分じゃない感じがしたり、幻覚とか、幻聴の話は、前から、なりさんにした事あったよね?」

「あぁ、風呂場の蛇口から髪の毛が出て来たり、誰もいない時に、近くから、ずっと呼ばれ続けたりするってやつだよな?」

「それ以外にもあるんだけどね…、なりさんは気のせいだって言うけど結構、本当に見えたり、聞こえたりする方にとっては辛いんだよ!」

「ごめんな、最近俺、余裕が無いよな?その話を聞いた時だって、風呂場覗いてきただけだもんな…。」

「……それよりね、今わたしが一番怖いのは色んな事を忘れて行っちゃう事もあるって聞いた事なんだ…。」

「……。」

「なりさん、わたしが入院した時に一緒に入院していたおばあちゃんの事覚えてる?」

「あぁ、あの、話が色々飛んじゃう人だろ?」

「うん、あんな風になるかも知れないんだよ…わたし…。」

「あのおばあちゃんだって、何とか会話も出来てたじゃん。」

「でも、色んな事忘れちゃってた…、なりさん、わたしがもしなりさんの事とかちびちゃんの事とか忘れたりしたら、すぐに、どっか遠いなりさんが面会に来れない様なとこにある施設か何かに入れて、会いに来ないでね…そんな風になったわたしを、なりさんにも、この子にも見て欲しく無いもん…。」

「バカな事言ってんじゃねぇよ!で、その病気治るのか?」

「…うん…、まだ初期だし、治る可能性はあるって言ってた…。」

「だったら、いいじゃねぇか、今までは、一生鬱病と付き合わなきゃって言われてたのが、治る可能性が出たんだろ?いい事じゃん!」

「でもね、この二十年近く鬱病の治療してたのって何だったんだろうな?って考えると、ちょっとやりきれない気持ちになるんだ…。」

「正確な病名が分かっただけでもいいじゃねぇか!回り道だったかも知れないけど、治る可能性が出たんだろう?俺はそっちの方が嬉しいよ。」

「…うーん…。」

「俺はさ、一生付き合わなきゃな病気を持ってるからさ、お前だけでも治る可能性が出たのは、本当に嬉しい、前向きに行こうやっ!」

当時の俺はここで致命的なミスを犯す、『統合失調』=(旧)『分裂病』である事も、陰性症状が出た場合効果的な薬が無い事(当時)も何も自分で調べる事を、生活に追われている事を言い訳に放棄してしまっていた。

無知の罪には、相応の罰が待っている…。

「最近ね、幻覚とか特に酷いんだ…、仕事にも結構影響出ちゃってるからね…、正直、ちょっと辛いよ…。」

「なぁ、俺も仕事決まったし、体調もおかげさんで良くなったしさ、今度はお前の番だ、俺が働いて来るから、お前は仕事の事なんか考えねぇでゆっくり休めよ…、今までの恩返し!交代しよっ!なっ?」

「なりさん、ありがとう、ちょっと甘えさせて貰おうかな…。」

「おう、そうしろ!、今度は俺が頑張る番だからさ、ゆっくり休め!」

数日後から、今度は嫁さんの自宅療養が始まった…、だがそれは、嫁さんが社会から孤立するのと同じ意味を持つ事に俺は気付いていなかった…。

その間、俺の仕事はハードさを増し、帰宅時間の遅れ、睡眠不足、自分の時間も家族との時間も取れないもどかしさ等で俺自身がストレスフルの状態になっていた。

当然、ただでさえ少ない嫁さんと過ごせる時間を愚痴を言う時間と、些細な事で苛立ち、苛立ちの矛先を嫁さんに向けてしまうと言う本当に無駄な時間に費やしてしまっていた。

嫁さんは何も文句を言わずにいてくれたが、相当なストレスの負荷を俺が掛けてしまっていた事は想像に難くない…。

そんな最中、嫁さんが誕生日を迎える、その日は同時に結婚記念日でもある…。

当日は時間が取れずにお祝いは週末まで待ってもらう事にした。

「どっか行きたい所とか、喰いたいもんとかあったら決めといてね。」

「うーん…、じゃぁ、久しぶりに外でお寿司が食べたいかな?」

「よし、じゃぁ、週末は寿司だ!好きなだけ喰っていいから、楽しみにしてろよな?」

「うん!」

その週末と翌週末は、嫁さんの誕生日祝いと、結婚記念日それと、俺のストレス解消を兼ねて、家族で外食が続いた。

「ごめんな、お祝い遅れて、誕生日おめでとう、乾杯!ほら、ママがまた年とったよ、ちびも乾杯してあげな!(笑)」

「なりさん、一言余計!(笑)」

「ママかんぱい!」

「ありがとう!…なりさんと一緒にご飯食べるのも、随分回数減っちゃたね…。」

「そうだな…ごめんな、これから先、必ずどっかで穴埋めするからさ、それまで少し時間ちょうだい、頼む!」

「うん、期待して待ってるね。」

寿司屋での誕生日祝い、そして、翌週に行った嫁さんとよく通ったバーでの結婚記念のハプニングサービス付きの食事が家族三人で行った最後の外食になる…。

一見平穏に、何事も無かったかのように、時間が過ぎた…。

だが、そのかりそめの平穏の期間にも嫁さんの苦悩は続いていた事を知る事になるのは、それから数週間後だった…。

ただひたすら、俺や、娘に心配させない為に…
ただひたすら、笑顔をみせてくれていた…
ただひたすら、自分の感情を押し殺して…

全ては、俺と娘の為に…。



続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/09/27(土) 14:45:18|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード25)「不協和音~かりそめの平穏」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード25「不協和音~かりそめの平穏」(前編)


先の見えなかった再就職と長期休養に突然光明が見えた。

きっかけは友人からの一本の電話。

俺が求めていた再就職の為の高いハードルは、見事にクリアされている条件だった…。

唯一だが、本来最も優先されるべき、嫁さんに心配を掛けない仕事であるという条件を除いては…。

電話を貰った二日後に先方とのアポイントを友人に取り付けて貰う。

友人からの仕事の打診があった当日、嫁さんと娘の帰りを待ちながら、嫁さんに、仕事の内容をどこまで話すべきか思案していた。

「ただいまー、仲良し親子の到着だよー。」

「お帰り、飯の準備出来てるよ。」

「嬉しいね!今日もパパのご飯だよ!」

「うん!うれしい!」

「そっか、よし!飯にしようか?その前に、ママにご報告があります!」

「何、どうしたの?」

「あのさ、仕事決まりそう。」

「…どんな仕事?」

「給料いいよ!前の職場の手取りにプラス五万だって、あとは更に歩合が付くって。」

「給料じゃなくて、仕事の内容を聞いてるの!危ない仕事じゃ無いよね?」

「別に危なくは無いと思う。ただ、場所は六本木で、深夜の仕事になるかもなんだけど、細かい事は、明日オーナーになる人と会って聞いてくるわ。」

「えっ!もうアポ取ったの?六本木?深夜?女の子のいる店じゃないよね?」

「とりあえず、明日、オーナーに会ってみないと分かんねぇんだ。」

「なりさん、お金だけじゃ無いからね!仕事選んでよ、明日すぐに決めてきちゃダメだからね!」

「了解!とりあえず、明日行って、先方と会ってみる。で、帰ったらお前と相談して決める、OK?」

「なりさん、絶対だよ!」

「分かった。」

翌日、オーナーとの顔合わせ…、嫁さんには悪いと思ったが、収入面から考えて、俺の腹は決まっていた。

仕事の詳細は、新規オープンの会員制クラブのマネージャー、もちろん女の子も在籍する店だった…。

店舗の改装も始まっており、出来れば翌週には現場に入って欲しいとの事だった。

週休二日と言う事もあり、その場で、契約を結んだ…。

「事後承諾」俺の選んだ決断だった…、嫁さんの気持ちは置き去り…。

(休みが増えれば、家族との時間も休職前より多く取れるだろうし、収入も上がる、問題ないだろ?)帰りの電車の中で、ずっと自分に言い訳をしていた…。

「ただいま、ちびちゃんは?」

「おかえり、うん、さっき寝たとこだよ。で、どんな仕事だった?」

「新規オープンの会員制クラブのマネージャー、夕方6時から夜中の2時までだけど、多分朝まで営業するだろうな…、当然女の子いる店だってさ…、ただ、土日休めるし、給料も固定プラス歩合だから条件いいでしょ?」

「決めてきてないよね?当然!」

「…ごめん、来週から現場の仕切りする事に決めてきちゃった…。」

「私と相談してから決めるって言ってたじゃない!!」

「ごめん、これ以上、お前に迷惑掛けたくなかったからさ…。」

「わたしの気持ちも考えてよ!その仕事じゃ、夜中ずっとこの子と二人じゃん!それに…」

「それに何だよ?」

「…言いたくない!だって…。」

「だって何?」

「…女の子いっぱいいるんでしょ?わたしより若くて可愛い子…?。」

「お前、そんな事心配してたの?」

「だって…、当たり前でしょ?なりさん男だし、女の子大好きなの知ってるもん!」

「お前と付き合いだしてから、一度でも、お前以外の女の子に手を出した事あったか!?」

「…無い…。」

「お前に本気で惚れてから、一度も浮気した事が無いのは、俺のプライドなんだぞ!あんまり威張れるような事じゃないけどさ…。(苦笑)」

「ほんとはね、なりさんの事だから、今日仕事決めて来るんじゃないかなって思ってたんだ…。」

「そっか…。」

「でもね…、本当はこういう仕事はやって欲しくなかったんだよ!だから約束して、期限を決めて!三年…、それ以上はやって欲しくない!なりさん自分の店出したいって言ってたのだって遅くなっちゃうし、この子が小学校に入る頃に、パパのお仕事『会員制のクラブのマネージャー』とか、『六本木の黒服』って何となく言わせたくないでしょ?」

「そうだな…。」

「だから、期限は絶対守って!その条件でお嫁ちゃんは許可します。(笑)」

「ごめんな、いつも勝手やって。」

「なりさんといると、いつも刺激があって楽しいよ、いつも一か八かって感じで、怖い時もあるけど。(苦笑)」

「わりぃな、感謝してるよ。何だかんだ言いながら、最後は、俺の好きにやらせてくれる、お前の器量のでかさに…、ありがとう。」

「ただね…、今回の仕事に関してだけは、本当に心配してるんだぞ、お嫁ちゃんとしては…」

「何を?」

「……ほんとに、わたしより若くて可愛い子がいっぱいいる中で、なりさんがわたしの事だけ見ててくれるのかな?って。」

俺と、目を合わせずに、うつむきながら、そしてためらいがちに問いかける嫁さんに、掛けるべき言葉は見つからなかった…。

嫁さんの不安を少しでも取り除いてあげたかった…。

俺達は、自然と身体を重ねあった…。

お互いが信頼を確かめ合う為の必然の交わりだった…。


翌週からの仕事は、オープン準備と言う事もあり、多忙を極めたが、終電までには、家路に付く事が出来た。

嫁さんも、比較的安定してくれているようだった…。

嫁さんの精神に負担を掛け出す問題が次々と起きて行くのは、俺が、完全に深夜、家を空けることになる、新しい職場の正規オープン日以降からだった…。




後編へ続く

テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/09/25(木) 15:34:03|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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お詫びとお願いです。

ここ数日、PC不調だった為、メッセージの返信や、日記のUPが出来ませんでした。

返信遅れている皆様、日記をお読み下さっている皆様、申し訳御座いませんでした。

PCの調子も何とか回復出来て来たので、返信させて頂くまで、もうしばらくお待ち下さい。

また、ここ数ヶ月の出稼ぎ期間と、NPOの準備期間に、沢山のメッセージ頂いておりました。

自分自身、注意は払っていたつもりでしたが、情けない話ですが、見落としてしまったメッセージもあるかもしれません、いつまで待っても返信が来ないと思われる方はお手数ですが、お知らせ頂ければ幸いです。(汗)

そして、ここで、お知らせがいくつか…。

まず、NPO関係から。

今月の初めに、正式に認証を頂いてから、認証が下りるまで凍結せざるを得なかった、業務を順を追って処理しています。

これから、ご挨拶のメッセージや、ご協力のお願いのメッセージを順次お送りするかと思いますので、その時はよろしくお願い致します(祈)

また、自分が不定期に書いております、「メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…」ですが、これからの内容は、確実に、重いものになる事が予想できます。

「死」というものにもフィルターをかけずに書き綴って行くつもりです。

決してキレイな物語にはなりません。

その文章を読まれて、気分を害されると思われる方や、メンタル面が不安定な時期の方は、読まないで頂くか、時期を見てご覧頂ければ幸いです。

また、これからのエピソードを書いて行くに当たって、メッセージの返信が遅れる事もあり得ます、ご理解頂ければ幸いです。

誠に勝手なお願いですが、何卒よろしくお願い致します。

テーマ:カウンセラー - ジャンル:心と身体

  1. 2008/09/23(火) 20:50:52|
  2. MENTAL REBORN
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード24)「転職と不協和音」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード24「転職と不協和音」(後編)


就職活動とは言っても、状況は緊急を要した、悠長にハローワークで職探しや転職サイトに登録して、数ヵ月後から雇用なんて余裕は全く無い様な経済状況にまで、俺の休職は影響していた…。

「なぁ、生活費、いつまでに入れれば何とかなる?」

「少なくても今月は、やり繰りすれば何とかなるし、最悪、カードでキャッシングも出来るから、なりさん、本当に無理しないで、それに、どうしてもお仕事探すんだったら、なりさんが、本当にやりたい仕事を見つけて!お金の為にやりたくない仕事に付くのだけはやめてね!」

「今は、そうも言ってられねぇだろ?とりあえず、給料が良くてすぐに働かせてくれるとこがあったら決めちまうわ、もうお前に無理させたくないからさ、相互扶助だろ?」

「本当に無茶な仕事はやめてね!もう、わたし達には、この子もいるのだけは忘れないでね!」

嫁さんの必死の願いも響かないほど、 当時の俺は自分が働かなかった事で、大切な家族に負担を掛けてしまった罪悪感で一杯だった…。

就職先を見つける為に、自分の当時のコネクションをフル活用するも、条件が条件だけに思うように事は進まない…。

いたずらに時間が過ぎて行く、増えて行くのは、嫁さんの疲労と俺の罪悪感、そして、借金…。

その間、友人を通して何件かのオファーは来たものの、どうしても条件が噛み合わない、当時の俺の頭には、高給を取って来て、大切な家族に失わせてしまった安定した生活を取り戻したい、その一念だけだった。

俺自身が煮詰まってしまっていたある深夜、一時は治まりつつあった頭痛の発作がやって来る。

心配し、寄り添ってくれる嫁さんの優しさに、また動けなくなるのかと言う苛立ちと、不甲斐なさが、行ってはならない方向に、俺の思考を向かわせた…。

頭痛薬を数錠のみ、痛みを強引に押さえ込み、黒のスーツに着替える。

「なりさん!そんな格好でこんな時間に何処に行くつもり!?」

「ごめん、俺、もうお前達に迷惑掛け続けるのに耐えられねぇわ…。」

「だからって何をするつもり!?」

「大丈夫、お前達には、もう迷惑掛けないから、ちょっと出かけて来る。」

「どこに?ふざけないで!」

「俺さ、保険に入ってるだろ?一番保険金が入る方法で上手くやるから後の事頼むな…、今までありがとう。」

その言葉を吐いた瞬間、嫁さんの渾身の平手が俺の顔を叩いていた…。

目の前には、始めて見る本当の怒りに震える嫁さんがいた…。

「いつも、死にたいって言うのはわたしの方でしょ!それを、いつも止めるのは誰よ!?」

「これ位しか思いつかねぇんだからしょうがねぇだろ!」

「あっそう!なりさんが死んだら、わたし、この子と一緒にすぐ追いかけるからね!それでもいいなら、もう止めない、好きにすれば!」

「金どうすんだよ!今の俺じゃお前らの食い扶持も稼いでこれねぇんだぞ!」

「そんなお金があったって、なりさんがいないんじゃ意味無いでしょ!そんなお金要らない!お願い!冷静になって!」

大声を張り上げながら、二つの瞳から大粒の涙をこぼし続ける嫁さんの姿にやっと、現実に引き戻される…。

「悪りぃ、俺がどうにかしてた…、本当にゴメン…。」

俺の言葉に、その場にへたり込む嫁さん。

長い沈黙…。

「なりさん…お金の事、もういいよ…、今は考えるのよそう…わたし、明日、仕事休む…、チビちゃん保育園に預けるから少し、二人の時間持とう?」

翌日、仕事を休んだ嫁さんと、何をする訳でもなく…、何を話す訳でもなく…、娘を迎えに行くまでの時間、ひたすらお互いを抱きしめあって1日を過ごした。

あったかい一日だった…。

それから数日後、友人から一本の電話が入る。

「六本木の新規オープンのマネージャーを探してる人がいるんだけど、嶋ちゃんの話をしたら、すぐに会いたいらしいんだ、今週、時間とれる?」

「給料いいの?」

「前の仕事の手取りにプラス五万だって、あとは更に歩合が付くってさ。」

「いつから、仕事に入れそう?」

「新規の立ち上げから手伝って貰いたいみたいだから、早ければ来週位からじゃないかな?」

「お願い!すぐ、アポ取って!」

嫁さんに相談をせずにアポを取った。

この一本の電話が、二人に不協和音を生み出す事になる…。


続く

テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/09/19(金) 12:31:19|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード24)「転職と不協和音」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード24「転職と不協和音」(前編)


嫁さんからの勧告で、結婚してから初めての、次の仕事が決まっていない休職時期を迎える事になった。

「女房子供の食い扶持を稼ぐのが、男の務め」これが、俺の家族に対する一貫した姿勢だった。

持病が原因とはいえ、その構図が突然瓦解する…。

初めは、俺自身、数週間もすれば、頭痛の発作も治まるだろうと考えていた。

頭痛の発作に耐え、家事をこなしながら、嫁さんと娘の帰りを待つ。

とは言っても、娘は、俺の体調を汲んでくれた嫁さんが、保育園に送り迎えをしてくれていたし、俺がやる事は、夕食の準備くらいなものだった…。

「ただいまー。」

「二人ともお帰り、お疲れさん。調子大丈夫だったか?」

「うん、何とかねー。ほらっ、パパにただいまは?」

嫁さんの後ろに隠れ、背中越しに、俺を覗き見る娘。休日以外に、自分より先に、パパがお家にいる事が、何となく不思議そうな様子だった。

「飯、準備しておいた、いつでも喰えるよ。」

「わぁ!よかったね、パパご飯作ってくれたって!パパのご飯美味しいもんね。じゃぁ、すぐ、みんなで食べようか!」

「うん、たべる。みんなでおいしいなしよっ!」

「おし、じゃぁ、すぐ用意するからな。ちょっと待ってて。」

家族三人で晩飯が喰える事、娘と一緒に過ごせる時間が増えた事、そして嫁さんの気遣い…。

本当に嬉しかった。ただ、それを素直に喜んでいられたのは、二週間程度だった…。

元々、体が丈夫な方ではない嫁さんが、毎日仕事に行き続ける、勿論、俺に泣き言は一切言わない。

だが、嫁さんの疲労が溜まって行くのが目に見えて分かる様になっていく…。

「なぁ、明日からチビ俺が面倒見てるよ。送り迎えが無くなるだけでも随分楽だろ?」

「いいよ、なりさんに休んで貰ってる意味無いじゃん。それに、頭痛の時、この子どうするつもり?」

「薬飲みながらだったら何とかなるよ、大丈夫。」

「それで、体壊したら、休んでる意味無いでしょ。今はなりさんが休む番!とにかく体休めてて!お願い…。」

三週間、四週間、まだ頭痛は治まらない…。

嫁さんの疲労もピークを迎えそうだった…。

そんな時、娘が高熱を出す。

「なりさん、ごめん!今日だけちびちゃんお願い!病院に連れて行ってあげて。」

「わかった。で、どこに連れて行けばいい?」

連れて行く小児科や、薬が出た場合の対処の仕方などを、事細かに、メモにして渡してくれる。

嫁さんのメモ通りに行動しながら、つくづく自分の育児に対する知識が足りない事を思い知る。

「なりさんごめんね!チビちゃん大丈夫だった?」

部屋に着くなり、娘の所に飛んでくる嫁さん。

「薬、これ貰って、座薬もさせたから、熱は下がってるよ。俺の方こそゴメンな、お前はいつもこんな事やってんだもんな…。」

「そうだよ、でも大丈夫!だってママだもん!(笑)」

「お前にばかり、無理させてるよな、ごめんな…。」

「いいの、いいの。それよりなりさん、慣れない事やって疲れたでしょ?あとは、わたしが見るからゆっくり休んで。」

俺が、休職しだしてから、一ヶ月が過ぎた頃、嫁さんの給料日がやって来た。

「なりさん、ごめんね、やっぱり、わたしのお給料だけだと、生活ギリギリだよ…、食費、なりさん何とか減らしてくれるかな…?わたし、そういうの凄い苦手なんだ…、なりさんそっちは得意でしょ?」

「…分かった…けど、やっぱり金しんどいんじゃねぇかよ…。」

「うーん、まぁね…ギリギリかな…でも、なりさんは無理しなくていいからね!」

「バカ言うなよ!お前にこれ以上迷惑かけられっかよっ!仕事終って帰って来るなり、玄関でへたり込んでるお前の姿なんか、これ以上見てられっかよっ!」

「わたしは大丈夫だから、なりさん無理しないで。」

「無理してんのどっちだよ?俺は、もう十分休ませて貰った。明日から仕事探すから。第一、お前が俺に金の事を言い出すって事は、よっぽどの状況なんだろ?」

「うーん…、本当はね…貯金無くなっちゃったんだ。でも、これは、なりさんの体調を元に戻すのに必要なお金だったから、全然勿体無くないんだから、気にしないでね!本当だよ!」

「ありがとう、本当に嬉しいし、ありがたいけどさ、やっぱ、お前らに飯喰わせるのって、俺の役目じゃん?だからさ、すぐ動いてみる。無理は出来るだけしないから、安心して!ごめんな…。」

家計の状況が分かってしまった以上、動かない訳にはいかなかった。体調に関しては正直見切り発車ではあったのだが…。

その日から、俺の転職活動が始まる。

条件は「前職よりも給料が高い事」のただ一点。そこに、嫁さんの気持ちや、家庭への気遣いは俺の目に入らなくなってしまっていた…。



後編へ続く

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  1. 2008/09/18(木) 19:29:04|
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード23)「転院~求職と休職」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード23「転院~求職と休職」(後編)



嫁さんの退院から一ヶ月ほどが経過し、体力も、メンタル面も落ち着きを見せ始めた頃、嫁さんの転院先探しと、派遣社員としての求職活動など、色々な事が動き始めた頃だった…。

以前から、何度か打診があった、俺が店長を任されていた店のフランチャイズ化、俺自身のポジションはそのままで、オーナーが変わり、雇用も、今まで恩のあった会社ではなく、新しいオーナーの雇用になるという話が、現実化して来た。
俺自身にとって、マイナスになる様な話ではないのだが、正直、オーナーが変わる事で、様々な説明をもう一度繰り返さなければいけない事には抵抗があった。
持病の頭痛の事、嫁さんの事、素通り出来ない問題は山積していた。

(正式に決定したら、嫁さんにも説明しなきゃな…。)

そんな事を考えていた冬の終わりが近づいていたある明け方、俺は、これまでも、幾度と無く経験して来た激痛で目を醒ます。

(おい…この大事な時期に群発かよ…。)

激痛に身じろぎしながら、嫁さんが眠っている事を確かめる…。

嫁さんが眠っている事を確かめ、おぼつかない足取りで、専用の頭痛薬を取りに向かう…。

「なりさん!頭痛?」

「…ごめん、やっぱり起こしちゃったか…。」

「今日のもひどいの?」

「…そうだな…ここ最近では最悪だな…。」

「そんなに痛いんだ、薬まだ飲んでないでしょ?、わたし持ってくるから!なりさんは横になってて、冷やす物も一緒に持って行くから…ねっ!」

「…ごめん、いつも起こしてごめんな…。」

「お互い様でしょ、いいから横になってて。」

「ごめん…、甘えさせて貰う…。」

この頭痛が、毎日、数ヶ月続く事を考えると気が重かった…更に、俺の頭痛にほぼ必ず起き出して俺の側にいてくれる嫁さんに、また負担を掛けなければいけない時期が来てしまった、その事実が俺の気持ちに追い討ちをかける。

空が白んで来た頃、ようやく頭痛が治まりだす。

頭痛の間、体温が下がってしまう俺の背中を、ずっと抱いていてくれた嫁さんに声を掛ける…。

「ありがとう、治まって来た、ごめんな。お前、今日仕事の面接だって言ってなかったか?」

「うん、午後からだから、ちびちゃん保育園に送って行ったら少しお昼寝してから行くから平気だよ。なりさんこそ、寝ないで仕事でしょ?無理しないでね。」

生活を共にするようになってから、一度たりとも、嫁さんが俺の頭痛に関して、一切不満を漏らさないでいてくれた事には、感謝なんて言う言葉では言い表せないほどの想いがある…。

仕事中は、頭痛の発作を出さない為に、常に薬を飲み続ける、深夜や早朝に薬が切れる、その痛みで目を醒ます、同時に嫁さんの目も醒まさせてしまう、そんな毎日が続いていた…。

あの年の頭痛の発作は、平年と比べても群を抜いており、ひどい発作時には、自分の頭を殴りつけた拳にひびが入ってしまう事もあった。

流石に、みかねた嫁さんから、一つの提案が出される…。

「なりさんさぁ?」

「うん?何…?」

「しばらくさぁ、仕事休んだら…?」

「無理!」

「今回の群発きつそうだし、それになりさん、今の職場のフランチャイズ化にあんまり乗り気じゃないんでしょ?」

「ん…?何で知ってんの?俺その話お前にまだしてないよなぁ?」

「何年なりさんと一緒にいると思ってんの?それぐらい、お嫁ちゃんはお見通しなのだ!(笑)」

「そっか…気付かれてたか…。」

「本当はね、なりさん、ここんとこ毎朝うなされてたよ。仕事の事寝言でなんか言ってたから、鎌を掛けて見たんだ…。」

「実はなぁ…、お前の言うとおりなんだわ…ただな、今俺が仕事辞める訳にはいかないだろ!」

「あのね、最近のなりさん無理し過ぎだし、わたしが仕事辞める度に、気にしないでゆっくり休めって言ってくれてたでしょ?」

「でもさぁ…、俺も職場変わる度に、日数調整で休んでた事があったけど、これまでのは全部次の職場から、声が掛かっていて、期限が決まった休みだったじゃない?今回辞めたら、次決まるまで時間掛かるかも知れないよ、その間どうすんの?」

「なりさんの体の方が大事でしょ!、それに、わたしの派遣も決まったから大丈夫!それに、今回の派遣先、商社だから結構給料いいんだよ(笑)」

「でもなぁ…お前に負担掛かるだろ?やっぱりダメだわ。」

「とにかく、今のなりさん見てる方がよっぽど辛いよ!指まで骨折して何言ってんの!頭痛の発作が治まるまででいいから、体休めて、お願い…。」

「うーん…やっぱりいいよ。仕事中は薬飲んでれば何とかなってるし、続けるわ、仕事。」

「仕事中にあんなに強い薬何錠飲んでるの!一日2回しか飲んじゃダメな薬、なりさん倍以上飲んでるよね?わたし、薬の数毎日チェックしてるんだよ!それにほとんど寝てないでしょ?なりさんが本当に倒れたら、ちびちゃんどうすんの!?」

「……分かった…、今回の頭痛の発作が治まるまでお前の言うとおりにするよ…、ごめんな、迷惑掛けるな…」

「これが相互扶助でしょ?お嫁ちゃんに任せなさい!(笑)」

「…分かった、ただな、今のオーナーと常務さんには世話になってるからさ、あと店の仲間にも不義理したくないからさ、残務処理だけはキッチリやって来るわ。だから、少しだけ、お休みさせて貰うの待って。それまでは、意地でも倒れないからさ!(笑)」

「なりさんらしいね。多分、そう言うと思ってた…じゃぁ、もう一踏ん張りだけ頑張っておいで。」

残務処理を終えた俺は、嫁さんの言葉に従い、約二ヶ月休職し自宅療養に入り、専業主夫になる。

それまで、給料全額を嫁さんに渡し、金銭の管理を全て嫁さんに任せていた俺は、当時の家計がどういう状態なのか全く把握していないままの休職だった…。


続く

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  1. 2008/09/14(日) 15:12:30|
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード23)「転院~求職と休職」(前編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。


エピソード23「転院~求職と休職」(前編)

嫁さんが転院したがっている理由は何なのか…?

退院した当日は、お祝いを兼ねて、家族3人で飲みに出かけた。

ビール2つとりんごジュースで乾杯。

部屋に戻った時に、転院について聞いた時、嫁さんが一瞬口ごもった…。

(今日は、転院の話を持ち出さず、純粋に、家族が揃った事を楽しもう)そう考えをスイッチさせた。

久々に「川の字」で眠れる夜、ただし、我が家の場合は…

「なりさんは寝相が悪いからおチビは、一番端っこ、真ん中がわたしだからね!」

という理由で、いびつな「川の字」だったが…(苦笑)

翌日の仕事が終わり、いつもより気持ち早めに部屋に帰る。

部屋には、眠ったわが子と嫁さん、そして嫁さんの手料理が待っていてくれた。

「お帰り!」

「ただいま、調子はどうだ?」

「うん、お料理も頑張れたよ!」

「おっ!サンキュー!久しぶりだから疲れたろ?」

「ううん、大丈夫、やっぱ、家だと落ち着くね(笑)」

「うん、なら良かった。」

「きのう、話しそびれたけど、お前病院変えたいのって、なんで?」

「うーん…、あのね、今通ってる病院で出されてるお薬があるじゃない?」

「うん。」

「あのお薬さぁ、入院した病院で結構減らされたのね…。」

「そうなんだ。」

「うん、友達になった子達もちょっと多く出され過ぎてるんじゃないって言ってたから、ドクターに聞いて見たら、やっぱり、少し多いかもねって言って減らしてくれたの。」

「それで?」

「それでね、思ったんだけど、今通ってる病院があるでしょ、あそこってさぁ、ドクターが独立開業して場所が変わったじゃない?」

「うん、そうだな。」

「その頃からさぁ、私の薬、どんどん増えてるんだよね…、大学病院の時は、そんな事なかったのに、開業してから薬が急に増え始めるのっておかしくない?」

「お前の症状が落ち着かなかったからではないの?入院したいって言ったりしてた時期じゃないのか?」

「その前からだと思う、入院してた時に友達になった子も主治医が独立開業してから、薬増やされたって言ってた、やっぱり、独立するとお金儲けに走っちゃうのかなぁ?」

「まぁ、中にはそういう人もいるのかも知れないけれど、素人考えで、そういう勘ぐりすんのって、良くねぇんじゃねぇのか?」

「うーん、でも入院してた所のドクター、減らしてくれたよ薬…。」

「俺は、あの先生信じたいけどな、この子、産むのにGoサイン出してくれた恩人だと思ってるし、やっぱ素人考えは良くねぇと思うよ。」

「うーん…、でも、やっぱり不安だから、一応他の病院も探してみてもいいかなぁ?」

「探すのはいいけど、今の病院にきちんと筋は通せよな。」

「うん、分かった、後さぁ、もう少し体力が戻って来たら、また、派遣の仕事初めてもいいかな?勿論この子となりさんの負担にならない時間帯で探すから、ダメ?」

「どっちも、お前が体力取り戻すまでは、焦んないでゆっくり休んでからが条件だからな!」

「うん、分かった、ありがとう、なりさんには、迷惑掛けるけどごめん、そうさせて貰うね…。」

「大丈夫、焦んなよ!とにかくさ。」

そう答えながら、この入院で、嫁さんに友人が出来たり、良い事もあったが、患者さん同士のコミュニケーションで知らなくても良い知識まで色々持ち帰って来てしまったなというのが俺の印象だった。

のちに、この専門的でない知識が、致命的な、嫁さんの勘違いと不安を呼び起こす事になる…。

また、後に調べて分かった事だが、当時、処方されていた薬の量も、その時の嫁さんには必要な適正量だった…。

嫁さんの転院先探しと求職活動、そこに、最悪のタイミングでアクシデントは降りかかって来る事になる…。


後編へ続く

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  1. 2008/09/11(木) 20:01:55|
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ご報告!!NPO法人NATURAL REBORN認証が下りました!!

NATURAL REBORN認可証01認可証02


5月にご報告をしたまま、地下に潜ってしまい(出稼ぎ/苦笑)、皆様に、ご報告が滞ってしまっていた、NPO法人化に向けての動きでしたが、地道に下準備を重ね、本日、都知事からの認証と法人登記までの一切の行程が、無事完了致しました。

まだ、これから始動する法人ですので、順を追って活動を開始して行く予定ですが、活動予定等は、これから、随時、ご報告させて頂きます。

まずは、これまで応援して下さった皆様、また、今後、お力をお貸し頂く皆様への感謝とご挨拶を兼ね、改めてこのNPO法人の活動主旨を簡単にまとめてみようと思います。

NPO法人ナチュラルリボーンは、カウンセリングルームメンタルリボーンを母体とし、メンタル疾患や、メンタルトラブルに悩んでいる方々や、その方々の力になりたいと真剣に考えていらっしゃる皆様の援助をしたい、または、未だに根強く残るメンタル疾患に対する、誤解や偏見を少しでも減らしたいと考える、有志の皆様のお気持ちが集まって生み出されたNPO法人です。

人は誰もが、産声をあげた瞬間から、心が、病んでしまったり、疲れてしまったりしている訳では無く、全ての人に帰るべき自然な状態がある筈だと、私達は考えております。

NATURAL REBORN(ナチュラルリボーン)の法人名には、「心身ともに、本来あるべき自然な状態にもう一度帰ろう、又は、生まれ変わろう。」と言う思いが込められています。

少しでも、心に疲れを感じたら、「私なんかよりも、苦しい人がいる筈だから…。」等とは考えず、まずは、ナチュラルリボーンにご相談下さい、一緒に、苦しい現状から抜け出す糸口を探してみましょう。

こんな感じの活動主旨です。

これまで、お待たせしてしまった皆様、本当に申し訳御座いませんでした、また、これまで、待ってくれていた皆様、大変お待たせいたしました!!

NPO法人NATULAL REBORN本日より始動致します!!

まだ、未完成ですがHPも、下記URLよりご閲覧頂けます。

http://www.naturalreborn.jp/index.html

皆様、今後ともよろしくお願い致します!

なり@出稼ぎ中改め NATULAL REBORN 理事長 嶋村 哲成(笑)

出稼ぎ中エピソード 近日公開予定!(笑)

あと、ついでに…みなさん、ただいまです!!



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  1. 2008/09/10(水) 10:20:40|
  2. NATURAL REBORN
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード22)「退院と転院」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード22「退院と転院」



「明日わたし、退院するんだけど、覚えてくれてるよね?」

「忘れる訳ねぇだろぉが、覚えてるよ。」

「午前中だから、寝坊しないでよ!(笑)」

「了解、分かってる、お医者さんとも話さなきゃだしな…。」

嫁さんからの確認の電話、嫁さんが、電話を掛ける事が出来る時間は限られている…。

この電話を受けたのも、俺がまだ仕事中だった。

嫁さんが入院した日から、職場のオーナーに、包み隠さず事情を話し、勤務中の携帯電話の使用許可を取り付けておいた…。

「俺の嫁さんは精神病だから。」

俺に近しい全ての人に、嫁さんの病気の事は話していた。

そして、もう一言、「だけど、俺にとっては最高の嫁さんなんだ。」と言う言葉を添える事だけは、忘れなかった。


嫁さんの退院予定日が来た。

嫁さんの担当ドクターと話す日でもある。

考えてみれば、お医者さんと直接話す機会なんて、持とうとしていなかった自分に気付く…。

(今日は久しぶりに、腹を据えて話を聞こう。)

そう思いながら、嫁さんを迎えに病院へ向かう…。

約束の時間より、気持ち早めに病院に到着…。

(あんまり早く着くと、何となく照れくせぇな…)敷地内の喫煙所で時間調整し、数分遅れで病棟に向かう、ガラス越しに、入院用のパジャマから、普段着に着替えた嫁さんが、笑顔で小さく手を振る。

いつもの、身分確認を済ませ、嫁さんの待つ、ガラスの向こうへ…。

「おし!迎えに来たぞっ!ほとんど遅刻もしなかっただろ?」

「うん、ちゃんと早く来てくれて、外でタバコ吸って待ってたもんね(笑)」

「もしかして…、見えてたの?」

「うん。」

いたずらっ子の様な笑顔を見せる嫁さんに、色んな事を見透かされている様で、正直照れくさかった…。

「…でっ、ドクターと話すのって何時からだっけ?」

とりあえず話をすり返る。

「もう少し待ってて、わたしが話してから、なりさんと二人で話すんだってさ、もう少しで呼ばれると思うよ。」

それから、嫁さんが診察室に呼ばれるまでの間、入院中に嫁さんがお世話になった患者さんに、退院のご挨拶をして回る事に出来るだけの時間を使った。

看護師さんが嫁さんを呼びに来る。

「じゃ、なりさん、先に行って来るね。」

「あいよ。」

十数分後、嫁さんが診察室を出て来る、微かに不満な表情を残して…。

「何か言われたの?」

「うーん…後で話すよ…、なりさん、ドクターが呼んでるよ。」

「分かった、とりあえず、話してくる、話は後でゆっくり聞くからな、ちょっと待ってて。」

診察室に入りドクターと向かい合う。

「ご主人様ですね?私、奥様の担当医の〇〇と申します。」

「妻がお世話になりました、ありがとう御座います。」

「これから、お話するのは、奥様の退院後の諸注意なのですが、ご質問がありましたら、何でも、お聞きくださいね。」

「はい、よろしくお願いします。」

それから、暫くの間、退院後の養生の仕方や、薬の飲み方の注意、そして、嫁さんが、完治した訳では無い事を忘れないで欲しいと言う様な話をされた。

「何かご質問はございますか?」

「はい、嫁さんのリストカットの事なんですが、あれは、無理にでも止めさせた方がいいんでしょうか?」

「出来る事なら、切らないに越した事は無いんですけどねぇ…」

「そうですよね、ただ、私自身も、妻に四六時中付きっ切りって訳にも行きませんし、妻自身も、私や娘に見られるのは嫌なようで、全部を止める事は、物理的に不可能なんですよね、どうしたらいいのでしょうか?」

「…医者として、これを言うのが正しいのかは分かりません…ただ、リストカットをする行為自体が、奥様の逃げ道になっているのも確かです、幸い、奥様の場合、切り傷も浅いですし、理性が残った状態で切っているようなので、「どうしても」と言う場合に限り、許してあげてもいいのかなと私は考えています。」

「そうなんですね…、逃げ場が無くなるのは辛いですもんね…ただ、あの傷跡を見ると、やっぱり、悲しい気持ちになります…、やっぱり、俺が守りきれてないんじゃないのかなって、思っちゃいますね…。」

「ご主人様、それは、ご主人様が思っている気持ちをしっかり奥様に伝えてあげて下さい、そのお気持ちが奥様に届けば、リストカットの回数も減ると思いますよ。」

「はい、分かりました、やれるだけの事はやってみます。」

ここで俺の中で、一つの誤解が生じていた、リストカットは、容認しても良い事、後でフォローを入れれば問題無い…。

今にして思えば、そんな事はありえない、リストカットをしなければストレスが抜けない状態まで放って置いてフォローを入れるのではのでは無く、ストレスが飽和状態になる前に、少しづつでも、フォローを入れてあげるのが、生活を共にしている者の務めだった筈だと、今は考える…、精神疾患と長く付き合っている間に誰もが必ず陥ってしまうであろう、エアポケット…、悪い意味での「慣れ」の時期だったのだろうと思う…。

「ご主人様、他にご質問は?」

リストカット以外にもいくつか退院後に気を付けなければいけない事を聞き終えていた。

「はい、これ位でしょうかね、ありがとう御座いました。」

「後、奥様から、この病院への転院のご希望が出ておりましたが、ご本人にもお伝えしましたが、一度、今まで通われていた病院へお戻りになって、主治医の先生ともご相談された上で、正規の手続きを取って頂かないと、転院は出来ませんので、ご主人様も、奥様の相談を聞いてあげて下さいね。」

「そうか、それでさっき、嫁さん難しい顔をしていたんですね…分かりました、本当に、妻の入院中はお世話になりました!今後、妻が通院するような事があれば、またよろしくお願い致します。」

「奥様大事にしてあげて下さいね、気丈ですけど、繊細な方ですから。」

「はい、肝に銘じておきます、ありがとう御座います、失礼致します。」

診察室を出るとすぐに、娘を抱いた嫁さんが駆け寄ってくる。

「どうだった?」

「まぁ、色々な…、まぁ、必要な事は大体聞いて置いたから、安心して帰って来い、この子も待ってるからさ、なっ!」

「うん、分かった、なりさんありがとう。」

「どれ、退院の準備は?」

「うん、もう殆ど終ってるよ、後は病室から運ぶだけ。」

「よし!じゃ、行こうか?」

病室には、嫁さんの入院仲間が沢山集まっていた、嫁さんの退院を祝うと同時に、寂しくなる気持ちを必死に押し殺しているのが、俺にも分かった…。

「ご主人さん、荷物一人で持つのたいへんでしょ?私手伝いますよ!」

そう言い出してくれたのは、統合失調症と拒食症を併発している10台の女の子だった。

明らかに、40キロ台前半の細い体で、荷物を運ぼうとしてくれている。

その子の優しさに嬉しさと同時に、心配にもなってしまう俺がいる、どう声を掛けていいのか戸惑っているのが伝わってしまったのだろう。

「私、こう見えても、力持ちなんですよ!(笑)大丈夫ですから、お手伝いさせてください。」

「ありがとう御座います、じゃぁ、これだけお願いできますか?」

女の子の気持ちを無下にしない為に、比較的軽そうな物を一つ持って貰う、一生懸命荷物を運ぶ女の子と荷物を抱えた俺と嫁さんの後ろから、見送りをしてくれようと、多くの患者さんが着いて来てくれる。

病棟内を隔てるガラスの扉の前、嫁さんが、見送りに来てくれた患者さん達と、挨拶を交わしていく、ガラスの扉をくぐる頃には、ほとんどの患者さんが涙を浮かべている…。

嫁さんも涙目。

嫁さんの人間性が良く分かる、退院の光景だった。

病院の敷地を出て、タクシーを捕まえる…

両手一杯の荷物を抱えた俺、娘を嬉しそうに抱っこする嫁さん…。

やっと、「日常」が帰って来た。

「なりさん、ありがとう、今日は、久しぶりに晩御飯頑張って作るね!」

「今日はいいよ、退院祝いだ、外で喰おうや」

「いいの?」

「うん、お前の味噌汁は明日以降の楽しみにして置くわ(笑)」

「じゃぁ、明日は絶対わたしが作るね!とりあえず、荷物置きにお家帰ろうか?」

「そうだな。」

タクシーがマンションの前に着く。

部屋に帰って荷物を置き、改めて嫁さんと向き合う。

「おかえり。」

「ただいま、なりさん迷惑掛けてごめんね。」

「ちゃんと帰って来たから、許してやるよ!(笑)」

「やっと、帰ってこれたぁ、わたしのお家に(笑)」

笑顔のよめさんをそっと抱き寄せる…。

「お帰り、帰ってきたばっかりなんだから、しばらく無理すんなよ…。」

「ありがとう…、やっぱり安心するなぁ…、なりさんの側…、これからもよろしくね…。」

「おぅ、俺の方こそよろしくな…。」

そこで、ドクターが言っていた、嫁さんの転院の希望を思い出す。

「そう言えば…お前さぁ、病院変えたいんだって?」

「…うん、そうなんだ…。」

「なんで?」


続く

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  1. 2008/09/08(月) 16:35:22|
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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード21)「入院…」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。






エピソード21「入院…」(後編)

「あの人ね、可哀そうな人なんだ、陰性の統合失調症で、これから、少しずつ、色んな事が、分からなくなって行っちゃうんだって言ってた…。」(※当時は陰性の統合失調の治療にに効果がある薬は出来ていなかった)

「そっか、そうなんだ…、今は、あんなにニコニコしてるのに、可哀そうだな…。」

「こんな事、言っちゃいけないとは思うんだけど、わたしが、同じ様な状態になったら、もうダメだろうなぁ…。」

「おい!ダメだとか言うなよ、お前は、お前、早く良くなる事だけ考えて入院してろ!、良くなる為の入院だろうが!」

…この会話が、精神病患者の入院がもたらす、メリット、デメリットを考えさせられる重要な会話だった事に気付く事になったのは、嫁さんが退院をしてから、暫く時間が過ぎた頃だった…。

嫁さんが入院していた、一ヶ月強の期間、休日の度に、病院へ通い続けた…。

時には、面会場所に、人気が無くなった時間帯を見計らって…。

「なりさん、ごめん、お願い!、ちょっとでいいから、抱っこして…」

「誰か、ここに来るまで手を握っててくれない?」

と、頼まれる事も多かった…。

俺が見舞いに行った帰り際に、見せる、寂しそうな顔を今も忘れられない…。

俺が、想像していた以上に、世間から隔離される状況は、嫁さんにとって辛かったのだと思う…。

嫁さんの退院の目処が付いた頃、週末の一時外泊の許可が下りた。

数週間振りの家族の時間…。

部屋でくつろぐ、嫁さんの、安心した顔…。

「もう少しで、戻って来れそうだな。」

「うん、なんか、帰って来たら、もう一回病院に戻るの嫌になっちゃった…。」

「そうだよな…、早く戻って来いや、待ってるよ、俺も、ちびも…。」

「やっぱり、家っていいね…、ここが、わたしのいていい場所なんだなって、実感できる…、勿論、なりさんと、この子がいてくれるからこそなんだけどさ。」

「そうだな…。」

「なりさんは、わたしがいなくて寂しい?」

「……少しな…。」

こんな時に、本音が言えない、そんな自分が、この先、嫁さんを悩ませたり、追い込んだりして行ったのだと、今でも後悔している。

セロファンテープに名前を書かされたライターで、タバコに火を着ける嫁さんを、本当は一日でも早く、病院から連れ出してあげたかった…。

「お前の居場所は、ここだよ!だから、早く戻っておいで。」こんな簡単な一言が、素直に言えない俺は、物凄く、カッコ悪い存在だったと今は思える。

「お前さ、入院して、何が良かったと思う?」

「うーん…、同じ病気の友達が出来た事と、もう、入院したくないから、死にたいって、言いたくなくなった事かな?(笑)」

その時の俺は、嫁さんの言葉の意味を取り違えて、認識していた。

(死にたいって、言いたくなくなった…)死にたくなくなった訳じゃなかった事に…。

入院は、緊急時の、最悪のケースを無くす為に必要なものだとは思うが、入院と言う行為そのものが、「万能薬」の様なものだと、勝手に解釈していた俺にとっては、後に、多くの誤解を招く、一つの要因にもなっていた気がする、全ては、当時の俺自身の、無知と、勉強不足から生まれた事なのだが…。

「退院の日にね、ドクターが、なりさんと話したいって言ってたけど、大丈夫?」

「いいけど、どんな先生?」

「若いキレイな女の先生だよ、わたしは結構好きなドクターかな。」

「おっ、いいねぇ!じゃぁ、お前の退院の日は、ビシッとした格好で行かなきゃだな!」

「やっぱりなぁ、また、なりさんの病気が始まったよぉ!(苦笑)女の先生じゃなくても、わたしのお迎えに来るんだから、ビシッとして来て下さい!まったく!バカな事いってんだから…。」

「はーい、気を付けまーす、とりあえず、退院の日、楽しみにしてるわ、いろんな意味で!(笑)」

「はいはい、もう、一児のパパなんですからねー、しっかり、その辺覚えといて下さいよー。」

「あはは、分かってるよ!(笑)」

「まったくー、どっちが楽しみなんだか分かんないじゃん!」

そして、本心では、心待ちにしていた、嫁さんの退院の日がやって来る…。




続く

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  1. 2008/09/01(月) 13:50:30|
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