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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード12) 「行方不明」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード12「行方不明」


新居が決まり、嫁さんの転院も決まって、俺達の、本当の意味での新生活が始まった。

当時の俺は、飲食店勤務、嫁さんは、IT関係の職場に勤務していた。

結婚以前には、抑うつ症状や、パニック発作で、欠勤や遅刻が多かった嫁さんも、この頃には、かなり安定していた時期だったのか、仕事の方も、順調に出勤出来ていたし、家事もそつなくこなしてくれていた。

嫁さんの帰宅時間が、残業を含めても、20時から、22時、俺の帰宅が23時から、深夜1時ぐらいで、嫁さんが先に帰宅し、食事の準備をしながら、俺の帰りを待っているというのが、我が家の「当たり前の生活」になっていた。

そんな日常が続いていた、ある日、深夜の1時過ぎに帰宅した俺…。

普段通り、カギを開け、ドアを開ける、部屋に明かりが点いていない、結婚してからは、初めての事だった。

(久しぶりに調子が悪くてねてるのかな?)くらいに考え、明かりを点け、寝室を覗きに行く、嫁さんはいない…。

留守番電話を見る、留守録は無い…。

(当時の俺は、携帯電話未所持、今、考えればそれも、自分のミスの一つだったと思う…。)

すぐに、嫁さんの携帯に連絡を入れる、電源が入っていない…。

お互いの通勤経路は、ひとつだけ、その、駅からの1本道にも、誰かが倒れていたりした様子は無かった…。

俺自身、何の連絡も無しに、嫁さんが帰宅しない何て事は、はじめての経験だったし、冷静な対応が出来ない自分に、物凄い憤りと、焦燥感を覚えた!!

嫁さんが、安定していた時期だと、思い込んでいただけに、尚更、帰宅しない理由が分からず、焦りは募る一方だった…。

(まずは、落ち着いて考えてみよう…)

冷静さを取り戻す為、タバコに火を着ける。

留守電が入っていない、これで、病院に運ばれた線は消える、嫁さん自身、連絡無しに、何処かに立ち寄るタイプでもないし、勤め先が六本木ヒルズ内だった為、当時は終電も今より早かった…。

時間が時間だけに、電話が繋がるか、不安はあったが、携帯の電源が入っていない事を考えると、心当たりは、嫁さんの会社しかなかった為、電話を入れてみる…。

電話のコール音、1回、2回、3回、4回……、繋がらない電話、鳴り続けるコール音…、(会社もダメなのか?)焦りと諦めとが同時に襲って来る…、(今夜は、心当たりを走り回るしかないかな?)しばらくの間鳴らし続けた電話が繋がる。

焦っていた俺は、先方の声も聞かずに、話し始める。

「夜分遅くに申し訳御座いません、御社に、お世話になっております嶋村○○の亭主です、大変申し訳無いのですが、嶋村○○は、御社から、退社しているか、お調べして頂けませんでしょうか?」

すると、電話口から、憔悴し切った、しかし、聞き慣れた声が…。

「なりさん、わたし、ゴメン、帰ろうとしてた時に具合が悪くなって、倒れたみたい…、気が付いたら仮眠室で寝てたみたい、今の電話で起きた、心配…させたよね…。」

「とりあえず、声が聞けたから安心した…、調子は良くなったのか?」

「まだふらふらするけど、少しましになったかな…、でも、まだ調子悪いから、今夜は会社で寝てくね。」

メンタル疾患に対して、多少、本などを読んだりした、付け焼刃の知識は持っていたものの、今ほどの対応力の無かった当時の俺は、安心感と共に怒りが同時に込み上げて来ていた。

「バカ野郎、おめぇ、どれだけ心配したと思ってんだよ!!、寝てくじゃねぇよ!!、そんなに調子わりぃのに、放っとけってのか?、俺がいない方が安心か?、タクシー使って帰って来い!!」

今ならば、間違っても言えない言葉…、この言葉が、トリガーになり、嫁さんは、パニック発作を引き起こす。

電話口から聞こえる、荒い呼吸音。

そこで自分が、嫁さんの病気の事を忘れ、嫁さんの事だけを責めていた事に気付く…。

「大丈夫か?ごめん、俺が悪かった、すぐ、薬飲んで、少しそこで落ち着いてろ、で、携帯の電源入れとけ、これからタクシーで、迎えに行くから、なっ!」

自宅から、タクシーを拾って、六本木ヒルズまで、約30分の計算、ヒルズに着く頃には、過呼吸も収まっているだろう、着いたら、電話ボックスから、嫁さんに電話すればいい…。

荒い呼吸のまま「なりさんも疲れてるんだから、無理しないでいいから、わたしは大丈夫だから、なりさんのせいじゃ無いからね…。」

「いい、これ以上喋るな、今日は俺が傍にいたい、それだけ…、待ってろよ。」

俺は、すぐに部屋を出た。

大通りまで走り、慶應病院の前でタクシーを捕まえる、普段なら気にならない六本木までの時間が、自分の言葉が、嫁さんの容態を悪化させたという自責の念からか、異様に長く感じる…。

ヒルズに到着、電話ボックスを探そうとする俺の背中に、突然誰かがしがみつく、土地柄、たちの悪い酔っぱらいだと思った、タクシーで苛立っていた事もあり、反射的に、腕を振りほどきながら、臨戦態勢に入る、本気で、ぶちのめしてやろうと思った。(※若い頃の話です許してあげて下さい。)

が、その瞬間、babydollの香を感じた、しがみついた相手は、嫁さんだった…。

心底脱力した…。

緊迫感から、安心感への突然の変化に気持ちも体もついて来なかった、ヒルズの前の公道で、安心感から、へたり込んで、そのまま、大の字に寝転がる…。

しゃがみ込み心配そうに、俺を覗き込む嫁さん、その腕を引き寄せて、無理矢理抱きしめる…。

「ごめんな、大丈夫だったか?」

「うん、わたしこそ、心配かけてごめんね、でも、来てくれて嬉しかった…、一瞬殺されるかと思ったけど(苦笑)」

「ごめん、気が立ってた、でも、お前のにおいで分かったよ。(苦笑)」

「ところで、そろそろ、起きない?ここ、六本木の公道だよ…(笑)」

2人で立ち上がる。

「バカ野郎、心配させやがって、無理して働いてんじゃねぇよ。」

「ごめんね…でも、こういう発作、何も理由が無くても起きちゃう時があるんだ…。」

「そっか、何にせよ、無理すんな、お前は俺のお嫁ちゃんなんだからさ、病気の事はまだ、解らない事多いけど、頼れるとこは頼ってくれよな。」

「うん、ありがとう、じゃぁ、まず、携帯持って!(笑)」

「ヤダ!、おっ!タクシー来たぞ。(笑)」

「背中に葉っぱくっ付いてるよ。(苦笑)」

「ありがとう、でも、もう行方不明は勘弁してくれよな、本気で心配するから…。」

「ごめん、出来るだけ気を付ける…、無理な時もあるかもだけど…。」

「分かった、そん時は、俺が全力で探すわ。(笑)」

あの日、俺たちは、いつもより、ほんの少し温かい気持ちで眠りについた…。


続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2007/12/07(金) 11:10:45|
  2. メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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