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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード17)「出産」(後編)

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。



エピソード17 「出産」(後編)


里帰り出産の嫁さん、深夜の陣痛の連絡、仙台行き新幹線の始発を待つ。

俺の胸に去来する、期待と不安…。

期待は、勿論、後数時間で産まれて来るであろう、俺と嫁さん、二人の血が流れている新しい命との出会い。

不安は、やはり、妊娠前に服用していた、薬の影響、嫁さんの向精神薬
また、俺自身の服用していた、頭痛薬の子供への影響…。

産婦人科、精神科の双方の医師から、時期的に考えて、影響は殆ど無いと思いますとの回答はもらっていたが、それでも、不安が消えた訳ではなかった。

東京午前6時頃発の新幹線始発に乗り込む。

「俺が着くまで、二人とも無事でいろよ…。」

思わず、独り言が漏れる。

前日、睡眠を取っていなかった為、車内で仮眠を取ろうとするが、やはり眠れない、様々な葛藤の中、午前8時過ぎ、新幹線が仙台へ到着する。

改札をぬけ、タクシー乗り場に走る。

タクシーに乗り込み、嫁さんの待つ病院へ、運転手さんに事情を話し、急いでもらう。

病院に到着、すぐに受付で、嫁さんの待つ病棟を教えて貰う、急ぎ足で病棟へ向かうも、正確な場所が分からず、看護師さんに、嫁さんの名前を告げ、案内して貰う事に。

「嶋村さんのご主人様ですね?奥さん頑張ってますよ!もうすぐですから、安心させてやって下さいね!」

「…???…もうすぐ?…」

出産の知識など、テレビや映画のワンシーン位しか持ち合わせていなかった当時の俺は、これから何時間も、分娩室のイスで待ち続ける事を想像していた。(恥)

看護師さんに案内され、分娩準備室のような所へ…。

陣痛の痛みにうめき声をあげ、涙を流している嫁さんを見つける、想定外の急展開に焦りつつも、嫁さんの側に駆け寄る。

「大丈夫か!?」

「……痛いよう…なりさん遅いよ…。」

「ごめんな、これでも、始発で来たんだ、許して、それより、話してて辛くないのか?」

何をしてあげればいいのか分からず、頭を撫でながら、背中をさすってみる。

「…ありがとう…来てくれて安心した…、話してたほうが、気が紛れる気がする…。」

「そっか、なら、少しでも楽になれそうな事、あったら言うんだぞ!」

「…うん…ありがとう、でも、なりさん、スーツ焼肉臭いよ…。ゆうべも飲んで来たんでしょ…最悪…。」

「ごめん、今日産まれるなんて聞いてなかったもん!(苦笑)」

「わたしだって、分かるわけ無いでしょ!分かってたら昨日のうちに呼んでるわ!」

「少し、元気になったじゃねぇか、ところで、お前の家の人達は?」

「まだ、時間がありそうですって言われたから、一回帰って休んで来るって言って、帰った…、信じられなくない?…」

嫁さんの家族の行動に、言葉も出なかった…。

助産婦さんが嫁さんの様子を見に来た。

「そろそろですね、ご主人、奥さん分娩台に運びますから支えてあげて下さい!」

「えっ?はい!もう、産まれるんですか?」

「この様子だと、個人差はあるけど、1~2時間位で産まれますよ。」

想像よりも早く状況が進み、正直戸惑ったが、嫁さんを助産婦さんと一緒に分娩台に運ぶ。

分娩台の上で、また、苦しみだした嫁さんの頭を撫でながら、親達に連絡を入れてくる事を告げる。

その時、助産婦さんが、「ご主人!すぐに戻ってきてあげて下さいね!」と一言。

「分かりました!」と答えたものの、俺が意味を取り違えていた事に、数分後気付かされる…。

親達に連絡を入れ、分娩室に戻る。

「嶋村です、戻りました、嫁さんの事よろしくお願いします!。」

「ご主人、何を言ってるんですか、ご主人が側にいてあげなくてどうするんですか!?」

「えっ?…自分立ち会うんですか?何も勉強してないですけど、大丈夫なんでしょうか?」

「一緒にいてあげるだけでもいいから、早く来て下さい!」

突然のアクシデント…『立会い出産緊急決定!』(唖然)

嬉しさと不安が交錯するが、分娩台の上で、泣きながら、苦痛に悶える嫁さんを見て、すぐに腹を括る。

「よろしくお願いします!」

「…なりさんありがとう…。」

「よし、こうなったら、二人で頑張ろう、いや、三人だな。」

「…うん…痛いよう…なりさん、助けて!」

普段、痛みに強い嫁さんが、泣き叫び、体をバタつかせる姿を目の当たりにし、心配と同時に、この苦しみを、嫁さん一人に押し付けないで済んだ事を、側にいてあげれた事を、突然のアクシデントに感謝した。

出産も終盤を迎え、痛みがピークに達したのだろう、嫁さんの口からは、うめき声と、弱音しか出てこない。

「もうイヤだぁ!痛いよぉ!もうやめて!産めなくてもいい!死んじゃうよぅ!」

普段の嫁さんからは想像も出来ない言葉が連呼される、そんな事からも、出産の痛みが、想像を絶するものである事を思い知らされた…。

俺に出来るのは、嫁さんの手を握り、励ましてあげる事くらい…。
無力さを感じながらも、自分が出来る事をやり続ける。

「頑張れよ!、お前もチビも無事じゃないと意味が無いんだからなっ!」

「もう少しですよ!ほら、もう頭が出ましたよ!ママが頑張らなくてどうするの!!」

その言葉を聞いて、目を向ける、確かにちっちゃな頭がそこにある!

その時の俺の行動が正しかったのかは分からないが、とっさに嫁さんの頭を引き起こし、嫁さんに呼びかけた。

「オイ!お前、頑張ってよく見ろ!もうすぐ会えるんだぞ、俺らの子供に!この子のママだろ!ずっと、二人で待ってたろ!ちゃんと見ててやれよ!」

勝手に…涙が流れていた…。

数分後、精神疾患のデパートの様な嫁さんと、ろくでなしの男に、小さくて、でも、無限の可能性を持った、命がゆだねられた。

元気な産声と共に…。

大仕事をやってのけた嫁さんの顔は、疲弊していたが、限りなく優しかった…。




続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/07/22(火) 22:16:53|
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