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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード20)「伝えられなかった喜び~入院」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。





エピソード20「伝えられなかった喜び~入院」

娘の保育園への入園の準備も整い、嫁さんを俺の職場に迎え入れる日がやって来た。

仕事の内容は、オフィス街のランチタイムのホール係。

飲食店の仕事を経験した事のある方なら、ご理解頂けると思うが、仕事の内容としては、それ程楽なものではない。

オフィスワーク以外の仕事を経験していない嫁さんの体力がどれだけ持つのか、一抹の不安は残る。

俺が嫁さんに一緒に働く事の条件として出したのは、絶対に無理はしない事、辛い時は休憩を入れる事の二つ。

「なりさん、今日からよろしくね!」

「うん、とりあえず、無理だけはしなくていいからな、それと、この子の送り迎えはよろしくな。」

「了解、じゃぁ後でお店で…、なりさんは、出勤時間までもう一眠りしておいてね、これから、保育園の準備して、送ってからお店に行くね。」

「悪ぃな、じゃぁ、もう少しだけ寝かせて貰うわ、店で待ってる、気を付けてな。」

職業柄、帰宅の時間が深夜だった俺は、当然の様に、娘の送り迎えを嫁さんにやらせていた、それに対する、嫁さんへの気遣いはすっぽり抜け落ちていた…。

出勤時間、娘を保育園に送った足で、嫁さんがやってくる。

「なりさん、よろしくお願いします、ちゃんと送って来たよ、ちょっと寂しかったけど…。」

「そっか、ありがとう、こっちこそ、よろしくな。」

「で、まず、何からどうしたらいいの?」

「そこに、エプロン用意して置いたから、それ着けて、キッチンの人達に挨拶しておいで。」

「えっ?紹介してくれないの?」

「そうか、それもそうだな、おいで。」

キッチンや、アルバイトの子達に紹介を済ませる。

「開店までに、何をやればいいの?」

「そうだなぁ、とりあえず、掃除機でもかけておいてくれる?」

「分かりました、後はテーブルの番号とか覚えてけばいいのかな?」

「おっ、分かってんじゃん!よろしくっ!」

俺が考えていたよりも、嫁さんの適応力は高く、営業が始まってからも、そつなく仕事をこなしていった事には驚かされた。

ランチタイムが終わり、嫁さんが帰宅する時間になる。

「お疲れさん、ありがとうな、正直、お前が初日からこんなに仕事が出来ると思って無かったよ(笑)」

「ほんとに?、なりさんの迷惑になってるんじゃないかって、どきどきだったけど、そういって貰えるとなんだか嬉しいな…、でも、なりさんこんなに大変な仕事、こんなに少ない人数でやってたんだね、わたしも明日から、もっと頑張るね!」

「いや、無理しない程度に適当にやってくれればいいよ、ありがと、お疲れ!じゃぁ、迎え頼むな。」

「うん、なりさんも無理しないでね。」

無事に初日は終了、その晩、帰宅した俺には、普段より豪華な晩飯が用意されてあった…。

翌日からも、嫁さんの仕事の能率は上がり続け、数週間後には、群発頭痛という持病を持つ俺を気遣う余裕さえうまれていた、仕事中は公私混同しないまでも、夫婦だからこそ成せるアイコンタクトでの仕事が出来るまでになり、本当の意味での戦力になってくれていた。

嫁さんと一緒に働ける喜び、それも確かにあった、だが、本音の部分では、嫁さんと一緒にいれる時間が増えた事、同じ目標に向かって共同の作業が出来ている実感の方が、俺にとっては、掛け替えの無い喜びだった。

だが、それを、嫁さんに伝える事は出来なかった…。

男として、嫁さんと働ける事に浮かれている自分を見せたくないと言う、ちっぽけな見栄もあった…、そして、何より、一緒にいれる時間が増えた事を喜ぶ自分を素直に伝える事は、照れくさかった。

本当は、それを伝える事が、嫁さんが一番喜ぶ事だと知っていたのに…。

どんどんスキルが上がって行く嫁さん、しかし、それは、嫁さんに掛かる負荷が増える事にも繋がっていた事を、身内だからこそ見落としていた。

数ヵ月経った頃、もう一人いた、アルバイトの子が家庭の事情で、職場を離れる事になった、当然、嫁さんに掛かる負荷も増える、育児、家事、仕事、病気、明らかにキャパシティーを越えていた筈だった。

「なりさん…、今日、わたしが仕事休んだらキツイよね…。」

申し訳無さそうに話す嫁さん。

「しんどいか?そうだよな…、いいよ、休みな。」

「いいの…?なりさん一人になっちゃうんでしょ?」

「体調良くないんだろ?、なんとかするよ。」

「ごめんね…。」

「大丈夫、なんか、方法考えるから、ゆっくり休んどけ。」

嫁さんが仕事に出れない日は、数日置きに断続的に続いた…。

俺自身も、疲労がピークになりつつあった、ある日、出勤する筈の嫁さんが来ない、嫁さんに電話を入れる。

「どうした?今日も無理そう?」

「うん…、なりさんごめん…、今日も無理そう…。」

「……分かった、何とかするよ!ただな、俺もしんどいんだよ!どうしても無理だよな?」

「ごめんね…、今日は、動けそうにない…ごめん…」

「分かった!、じゃぁな!」

苛立ちを隠さずに電話を切る…。

帰宅後も謝り続ける嫁さん…。

そっけなく、「気にしなくていいから、飯お願い…。」

「明日も早いから、先に寝るわ、おやすみ。」

「うん…おやすみ…。」

二人の間に気まずい空気が流れる、あの頃の二人を繋いでいたのは、娘の存在だけだった気がする…。

そんな、状況が何日か続いていたある夜…。

「なりさん、仕事行けなくてごめんね…、相談したい事があるんだけど…、聴いてくれる?」

普段とは様子の違う嫁さんの雰囲気に、話を聞かなければと思わされた。

「どうした?ちゃんと聞くからいってみな。」

「あのね…、わたし、入院しちゃダメかな…?」

「入院?」

嫁さんの目から涙がこぼれる…。

「どうした?」

嫁さんの手を取り、体を引き寄せる…。

その時に、初めて気付く。

嫁さんの腕に真新しい、リストカットの傷跡が何本もある事に…。

もう一度、嫁さんを強く引き寄せ抱きしめる…。

「ごめんな、辛い思いさせてたな…、きちんと話聞くから、何でも話して…、本当にごめんな。」



続く
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  1. 2008/08/19(火) 13:59:39|
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