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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード28)「最愛の妻より、そして、自らの精神疾患」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。




エピソード28「最愛の妻より、そして、自らの精神疾患」

嫁さんの火葬が終った。

「お葬儀は、田舎でやろう。」
狭いマンションで無く、広い場所で送ってあげたい、俺の親からの提案だった…。

気が付けば、月末までに、マンションを引き払い、実家に連れ帰られる事が決まっていた。

それが合図だったかの様に、嫁さんの親父さんとお姉さんが、嫁さんの遺品である洋服や貴金属を、俺の知らない間に処分していたり、嫁さんの実家に送ろうとしている事にも、違和感を感じずにいた…。

人が周りにいる状況が多かった為、気は張っていたが、俺自身の判断能力は著しく低下していた事は明らかだった…。

バタバタした状況の中、火葬が終った当日、夜の新幹線で俺の実家を目指す…。

俺の腕の中には、ずっと、嫁さんが納められた白い木箱があった…。

帰省翌日、改めて通夜が行われた、数百人の焼香客に、頭を下げ続ける…。

その中に十年近く不義理をしていた、同級生達数十人の顔が見えた時、それまで抑えていた感情があふれ出した…。

「今まで、何の連絡も無しに、こんな時だけ、来て貰って申し訳無い!」

友人の中の一人が言った…。

「何も言わなくていい…、何年経っても仲間だろ?落ち着いたら飲みに行こうな!」

自分の不甲斐なさと、仲間の有りがたさとが混乱し、涙が止まらなかった…。

翌日の葬儀を仕切ってくれる、お寺の住職さんを呼び止め、住職さんにだけ、事の顛末を包み隠さずに話す。

嫁さんの魂(というものがあるのだとすれば)が少しでも安らかに眠って貰いたかったから…。

翌日の葬儀については、以前触れた通り、俺の当時の心境を来客に伝えられたと思う…。

曜日の都合で、火葬が遅れた事や、帰省しての葬儀になった事などから、初七日はすぐにやって来た、二七日、三七日、四七日、四十九日、と仏事は続く…。

状況が状況だった為、最低でも四十九日までは、嫁さんの側にいてあげたい、その想いだけで、仕事も辞めた…。

仏事の合間を縫い、娘と二人で何度か東京へ戻る、職場への挨拶、引越しの準備、役所の手続き、やらなければいけない事は山積していたが何よりも、嫁さんの友人達に会いに行くのが、俺の一番の目的だった…。

嫁さんが俺以外に見せている気持ちの一面を聞きたかったというのが本音だった。

嫁さんの友人達に何度かに分けて話す機会を作って貰う…。

「嫁さん、俺の事、何か言ってませんでしたかね?」

「何か不満だったり、愚痴だったり、聞いていませんか?」

会う人それぞれに、同じ質問をぶつける…。

帰ってくる答えは、口を合わせた様に同じだった…。

「色々、不満とか、愚痴とか聞いた事あるけど、〇〇ちゃんの口から、嶋村さんへの文句って、一度も聞いた事が無いんですよ、ママ友達が集まった時だと、大抵、旦那の文句の一つも出るのに、〇〇ちゃんからだけは、嶋村さんの文句一回も聞いた事無かったなぁ。」

病院や保育園でも、不満や、悩みの中に、俺の事が出て来る事は無かったらしい…。

不満が無かった筈は無い…

現に嫁さんとは何度と無く大喧嘩をやらかしている、それと同じくらいの数の仲直りも…。

ただ、それが愚痴となって、誰かに伝わっていても何もおかしくは無い…。

確かに、家から一歩外に出ると、どんな状況でも年下の俺を立ててくれる、人前では、何があっても、俺を馬鹿にする様な言動は絶対にしない本当にできた嫁さんだった。

一度、嫁さんにその事を聞いた事がある、嫁さんの答えは極めてシンプルだった。

「なりさんに恥をかかせるって事は、『自分の旦那はダメ男ですよ』って、わたしが言うのと一緒でしょ?わたしは自分の旦那ちゃんに自信あるもん。」

(俺も自分の嫁さんに自信持ってるよ)その一言を告げられなかった事が今も胸に残っている…。

一人のママ友達が俺に言ってくれた…。

「私がね、〇〇ちゃんになんで、旦那さんの文句言わないのって聞いた事があるのね、そしたらね、『うちの旦那とはいくら喧嘩しても、最後は必ず、仲直り出来るまで話合いをするから、途中経過で愚痴は言わない様にしてるんだ…、それと、信じてるから』って言ってましたよ…『旦那と会っても絶対言わないでね』って釘刺されましたけど…。」

その時はじめて、嫁さんが俺の事をどれだけ信用してくれていたのか知る事になる…。

(言葉なんか無くても、俺の気持ちは伝わっているだろう…)そんな俺の根拠の無い自信は、微塵に砕かれた…。

嫁さんは、愛情を『言葉』と『行動』の両方で表してくれた…。

俺は何をしてあげれていた…?

それなのに、嫁さんは…。

その時は、自分を責める事しか出来なかった…。

嫁さんを亡くしてから、はじめて東京に戻って来た夜、不思議な夢を見た…。

その日も、人にあった後、嫁さんと最後に一緒に飲んだバーに娘を連れて食事をさせながら、深夜まで、バーボンをあおっていた…。

すでに眠っている娘を抱きかかえ、タクシーで嫁さんとの思い出の詰まった部屋へ戻る…。

一組だけ残してあった布団とタオルケットを敷き、枕元に、写真立てに入った嫁さんの遺影を置いて眠りに付く…。

薄皮一枚の浅い眠り、嫁さんが亡くなって以来、夢を見なくなっていた俺が見た夢…。

夢の中の俺は、枕元に置いたはずの、嫁さんの遺影を探していた…。

どんなに探しても、遺影は見つからない…。

狼狽している俺の前に、その時一人の女の子が現れる…。

小学生くらいの女の子、黒いワンピースを着ている…。

女の子が何も言わず、嫁さんの遺影を優しく渡してくれる…。

その女の子の髪は、嫁さんと同じ髪型、口元には、嫁さんと同じ位置にほくろがある事に気付く…。

驚いて目を醒ますと、枕元の遺影は、しっかり、俺の手に握られていた。

偶然なのだと思う、ただ、その時は嫁さんが体を失っても、俺の世話を焼きに来てくれた様な気がした。

嫁さんの遺影に思わず、独り言が漏れる…。

「お前、今でも気に掛けてくれてんのか?ごめんな…いつも、心配させてごめんな…、でも、ありがとう、会えて嬉しいよ…、ちっちゃいお嫁ちゃん。」

偶然だろうが、思い込みだろうが、「嫁さん?」に再会できた事は、なによりの贈り物だった…。

翌日は役所に行った、役所での手続きは、死亡届けと、精神障害者手帳の返還手続き…。

分かってはいたが、俺の戸籍の隣から、嫁さんの籍が抜けるのは、書類上の事とはいえ、一言では言い表せない、複雑な心境だった…。

何度か東京と田舎を往復しながら、いろんな人達とも会い、嫁さんの当時の心境の断片には、触れる事ができた気がしていた…。

四十九日の前日、辛うじて自力で支えていた俺の精神力が、一本の電話で叩き折られる事になる…。

同じ痛みを分かち合っている…と、俺が勝手に思い込んでいた、嫁さんの親族からの、絶縁と言う現実だった。

内容を掻い摘むと、俺の事は信用する事が出来ない、何かを隠している筈だ、今後の仏事にも、墓参りにも一切行きません、お付き合いの一切をやめるので、〇〇ちゃん(娘)を連れて来るのもやめて下さい。

という、一方的な内容だった…。

嫁さんの保険金の事も話された気がするが、殆ど記憶に残っていないし、また、ここに書くべき内容でもないので、割愛する。

人間は自分が耐え切れない、出来事が起きると、自分以外の誰かに、その責任を転嫁しようとする。

その心理は理解できるし、今回の場合、責任を転嫁するのに最適なのは俺であろう事は理解できるし、事実、嫁さんの自殺を回避させる事が出来たのは、俺以外にはいなかったと思う。

嫁さんを助ける事が出来なかった事実は、今後、俺の心臓が鼓動を止めるまで背負って行くべき十字架だとも思っている。

ただ、娘に関しては、どういう気持ちで切り捨てる事が出来たのか、今でも疑問が残っている…。

四十九日の法要を終えた翌日、保険金の約半分を判断能力が欠落していた状態で、送金する事になる…。

四十九日、使命感だけを頼りに、節目の仏事を迎える事ができた緊張感の途切れと、思いもよらない絶縁の報によって、薄皮一枚で繋がっていた俺の精神力は、五十日目で崩壊を向かえる…。

それは、自分自身と病気、家族、閉鎖社会との闘いの始まりでもあった…。

坂道を転げ落ちる、岩の様に…。




続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/10/28(火) 21:50:01|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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