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メンタル疾患の彼氏彼女を持つ人達へ…(エピソード29)「堕落の日々と気付き」

このエピソード達は、俺と、今は亡き、嫁さんが過ごして来た時間を懐古しながら、今現在、そういった状況で、悩んだり、困ったり、つまづいたりしている、人達の何かの役に立てればと思い、不定期で、自分と嫁さんのエピソードを、ノンフィクションで、書き綴っているものです…。

現在進行形の物語ではないので、ご注意を…。




エピソード29「堕落の日々と気付き」




四十九日までは、何があっても、俺が崩れる訳には行かない、嫁さんに安心して眠って欲しい…その一念だけで、様々な事に耐えて来た…。

嫁さんの親族が出席しない、いびつな四十九日の法要と、疑問を抱きながらの、絶縁…。

嫁さんの俺に対する思いや、娘を思う気持ちを、人づてのメッセージも含め、ほんの少しづつだがそれを受け止め、嫁さんの思いに答えて行かなければと考えをスライドしようとしていた矢先の、身内だと思っていた人間からの自己の全否定…。

元来、自責の念に囚われていた俺の精神が、坂道を転がり落ちて行くには十分過ぎる一押しだった…。

まずは、負の自問自答が始まる…。

「なぜ、電話をくれた時に、すぐに帰ってあげられなかったのだろう?」

「お前の事は、俺が守ってやるなんて言っていたのは誰?」

「俺はあいつに、何をしてあげられた?」

「俺と出会わなければ、嫁さんが命を落とす必要は無かったんじゃないのか?」

様々な自問の中で、導き出される答えは一つだけ…。

(俺の力不足…)

その時に出た答えが、俺は死んで嫁さんに詫びを入れなければならない大罪を犯したんだ、後は死に方の問題だけか?

俺は自分の命を懸けてでも守るべき者を守りきれなかった、時代が時代なら、切腹ものの重罪、腹を切ろうと本気で考えた…。

深夜、包丁を取りにキッチンへ向かおうとする。

「ぱぱ、おしっこ?」

眠っていたはずの娘の声に振り返る…。

「〇〇もおしっこ、いっしょにいこう。」

「いいよ、一緒に行こうか?」

「うん。」

娘のトイレを済ませ部屋に戻る…。

「ぱぱは、おしっこいいの?」

「うん、大丈夫になった…。」

「ふーん。」

「あのさぁ、パパね、ママに凄く凄く悪い事をしちゃったのね、だからさぁ、ママにごめんなさいしに行こうと思うんだ…。」

「まま、ねんねしてるところにいくの?」

「…うん…、そしたら、〇〇は、パパがいなくても、おじいちゃん、おばあちゃんのところで良い子にしてられる?」

「ぱぱ、すぐかえってくる?」

「ママが許してくれないと帰って来れないかな…。」

「ままに、ごめんねするだけでしょ?まま、すぐに、いいよっていってくれるよ。」

「そうかなぁ?ママ、パパの事許してくれると思う?」

「ままも、ぱぱも、わるいことしたら、ほんとにごめんねしたらいいよっていうって〇〇にいってたじゃん!」

…言葉を失った…。

嫁さんから、名指しで託された、娘への責任感と、それでも消えない自責の念から来る自殺願望の板挟みの日々が続く…。

丁度その頃から、娘を地元の幼稚園に通わせる事が決まる。

毎日娘の弁当を作り、幼稚園の送り迎えをする事だけが、日々の日課になった…。

娘といる時間以外は、全くの無気力で、嫁さんの仏壇の側で呆けているか、酒を飲み続けているかの生活になって行った。

大量のアルコールを飲まないと眠れなくなった、食事も摂れなくなった、嫁さんを亡くしてから約2ケ月で60㌔あった体重が44㌔まで落ちた。

風呂に入れない時も多くなった、無気力とだるさ…、それに加えて、風呂に入る度に、嫁さんのパジャマ姿がフラッシュバックを起こす事も原因の1つだった…。

幼稚園の送り迎え以外の外出も殆ど無くなっていた。

家族と会話を交わす時間も殆ど無くコミュニケーションも上手く取れなくなって行く。

家族との不協和音が聴こえ出す。

たまたま、家族で酒を飲む時間があった。

「お前、四十九日も終ったのに、いつまで、何をしているんんだ?酒ばっかり飲んで、飯も喰わねぇでガリガリになって。」

「悪りぃね…、ただ俺も好きでこんな事をやってる訳じゃないんだけどさ…、体が思う様に動いてくれねぇんだよ…、気持ちも追いつかねぇしさ…。」

「情けねぇ事言ってんじゃねぇよ!、そんなもの、お前がだらしねぇからだろ!?」

「体が言う事利かねぇんだっつってんだろうが!」

「まさか、お前まで病気だなんて言うんじゃねぇだろうな?」

「医者に言った訳じゃねぇから、ハッキリは言えねぇけど、この状態だったら、誰が見ても病気なんじゃねぇのか?」

「今回は、状況が状況だったから、今まで何も言わなかったけどな、周りの人達は、お前の事どう思ってるのか知ってるか?、四十九日も過ぎたのに、働きもしないで、情けない男だって、殆ど病気だって思われてんだぞ!」

「そうだろうな、そんなに迷惑掛けてんだから、俺、嫁さんの所に逝くわ…、娘の事だけは、よろしくお願いします。」

「情けねぇ事言ってんじゃねぇよ!!」

その言葉と同時に、親父のビールグラスが俺を目掛けて投げ付けられる。

体を捻ってグラスをかわすもグラスがかすった腕から血が流れる…。

そこからは、還暦に近い親父と、30を過ぎたいい大人同士が、部屋中のガラスが割れるほどの殴り合い、数分後、頭を割られた俺と、顔が変形した血みどろの親父がいた…。

親父が捨て台詞の様に残していった一言…。

「お前が少しでも、元のお前に戻れるんなら、病院でも何でも行って来い!ただ、俺は、お前が病気だなんて認めねぇからな…。」

職人気質の親父なりの最大の妥協であり激励だったのだと思う、ただ、狭い町の中、家族から精神病の人間が出る事は、家族には抵抗があったのだろう…。

悲しいかな、ここにも、精神疾患に対する偏見があった…。

翌日、家族の手前二の足を踏んでいた、精神病院へ足を運んだ…。

地方の精神福祉事情は正直、恵まれているとは言い難い、立地もその一因だが、絶対数の少なさから、自分と相性の合うDrと出会うまでも時間を要する。

俺の場合も、主治医と呼べるDrに会えたのは、3人目の先生だった…。

主治医が出した診断は、『心的外傷後ストレス障害』通称『PTSD』と言われる診断だった。

投薬治療が始まる、俺の場合現実逃避の為のアルコール依存も合った為、薬との相互作用で幻覚を見る事もあったが…。

薬の効果が出はじめると、徐々に外出が出来る様になった。

だが、それは俺自身の堕落への第一歩だった…。

はじめは、昔の仲間に誘われ、飲みに行きだした程度だった。

それが徐々に、誘われる側から、誘う側に回り、気が付けば、娘を寝かし付けた後は、お袋に娘を預け、娘が起き出す時間に部屋に戻るほど、飲んだくれる日々が続いた…。

行き先は様々だが、飲みに行く場所には、必ず女の子がいた…。

店が終るまで飲み続ける、店が終ると、女の子を連れ出し、朝まで飲み続ける…。

女の子が目的ではなかった、現実、女の子から誘いを受ける事もあったが…そんな自堕落な生活を送りながらも、俺の心の中には嫁さんしかいなかった…、俺の鞄の中にはいつでも、嫁さんの遺影が入っていた。

そんな自堕落な生活から足を洗わせてくれたのも、やはり嫁さんだった…。

その日、一人クラブのカウンターで飲んでいた俺に、何度か顔を合わせた事のある若い男の子が声を掛けてきた。

「嶋村さんて、お仕事何やってるんですか?」

「子持ちのぷー太郎だよ。(苦笑)」

「飲み代どうしてるんですか?」

「残り少ない嫁さんの保険金食い潰してる。」

「嶋村さん何かやりたい事とか無いんですか?」

「何していいかわかんねぇから、こうして、ダラダラ飲んでるんだよ。」

その時、不意に、嫁さんと交わした何気ない会話が頭をよぎる…。

「わたしがさぁ、このまま、病気が良くなって、元気に動ける様になったらさぁ、わたしと同じ様に辛い思いをしてる人達の何か役に立てる仕事がしたいんだ…、なりさんどう思う?」

「そうなんだ、いいんじゃない、ただ、お前がしっかり元気になるのが先だけどな…。」

そうか…、俺がしたい事を探そうとしてたから前に進めなかったんだ…。

事実、将来的には、自分の飲食店を持ちたいと言うのが、嫁さんと暮らしていた時の俺の目標ではあった…。

その目標だけなら、嫁さんの残してくれた保険金で実現する事も可能だった。

ただ、いつも心に、嫁さんの金で自分のやりたい事を始める事に罪悪感があった…。

結果として、更に性質の悪い、金の使い方をしてしまう事になってしまったのだが…。

嫁さんの思いを、嫁さんの意思を繋げる事が出来るのなら…。

その時から、俺の進むべき方向が、ぼんやりと見えてきた気がした。



続く
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テーマ:たいせつなひと。 - ジャンル:心と身体

  1. 2008/10/31(金) 06:05:29|
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  4. | コメント:0
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